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第四章ー5 ページ24




「コイツは_____」



中也が口を開いた時。突然無機質な音が室内に響き渡った。太宰の携帯が鳴っているのだ。太宰は視線を中也のほうから動かさず、「はーい」と電話に出る。

携帯の向こう側からは谷崎の声が聞こえていた。


「太宰さん、こっちの敵を抑えるのは完了しました。それで黒幕を吐かせようとしたんですけど・・・・」

「どうかしたのかい?」

「______情報を吐く前に、全員が死にました」

「何?」



息を呑む気配が電話越しでも判る。谷崎いわく、自ら自 害をしたわけでもないのだそうだ。情報を吐こうとした際に、おそらくその黒幕の異能力で殺された____そう考えているらしい。

黒幕は事前に、自分の情報を広めないためにも先手を打っていたのだ。となると、その黒幕の異能力のある程度は把握できる。相手に付与できる。かつ、人を殺すことのできる異能力。



これは厄介だ、と太宰は呟いた。



「だから何一つ黒幕の情報はなく・・・・」

「判った。まずは探偵社に集まっておいてくれ。私は少し遅れるから先に会議を始めておいてくれたまえ」

「了解です」


通話が終わる。会話の内容は中也にも聞こえていたのか、怪訝な顔をしていた。「・・・さて」と太宰はそんな中也に対し、明るい笑みを浮かべる。



「これで条件は達成だ。優樹菜ちゃんを返して______・・・・と言いたいところだが」


太宰は身を翻すとドアのほうへと向かう。


「黒幕の異能力は相当厄介だ。・・・その正体が判るまでは優樹菜ちゃんはポートマフィアにいたほうが安全だろう」

「俺ァ構わねえけどよ・・・・いいのか?俺から情報を聞きに来たんだろ」

「構わないさ。だって____」




何かを企むかのような顔で、彼は振り返る。


______だって彼女は。

______優樹菜は。




「彼女は必ず、自分のことを私達に話してくれる。いつだって私の予言は当たるからね。それまで気長に待つさ」

「・・・・・」




じゃあね、と去って行く太宰を見送り、中也は意味が判らないとでも言いたげな顔をしながら呟いた。




「・・・・・アイツ、マジで何をしに来たんだ・・・・?」





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ゆゆ(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます!もちろん受け付けております! (2022年11月13日 22時) (レス) id: 35eb047a16 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 最高ですね!番外編ってリクエスト大丈夫だったりします? (2022年11月12日 22時) (レス) @page42 id: 27bef482ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はなさん» 期末テストが終わり、修学旅行も終わった後からの更新スタート!今は着々とストーリー書いてるよん(*^-^*)♡あと私は神ではない。真の神はあなたである(意味不明) (2022年11月12日 22時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 新シリーズ…!神か?神だったな…(自己解決) (2022年11月12日 19時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 椿姫さん» わー!ありがとうございます!12月からは新シリーズ突入なので、そちらも見てくださると嬉しいです! (2022年11月10日 21時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年10月23日 11時

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