検索窓
今日:17 hit、昨日:39 hit、合計:302,226 hit

12 ページ12

「…すっかり話し込んじゃったね」



「うん、そろそろ帰ろうかな」





研磨はそう言って鞄を持つ。


本当はもっと一緒にいたいし何なら泊まってほしいけど、そんな無理も言えるわけがない。


グッと堪えていると、研磨は私の表情に気づいたのか優しく頭を撫でてくれる。





「そんな顔しないでよ」



「…ごめんね」



「……」



「…研磨?」



「まつ毛にゴミついてる」



「え、ほんと?」





急に黙り込んで私の顔をまじまじと見つめてきた研磨に少しドキッとしてしまった。


「取るから目瞑って」と言われ、私は言う通りに目を瞑る。


その瞬間、唇に柔らかいものが当たった。





「え」



「…じゃあ帰るね」



「待って研磨今…」





そそくさと帰ろうとする研磨の腕を引っ張り顔を覗くと、顔を真っ赤にしていた。


私もそれを見て言葉が詰まる。





「…可愛いからしちゃったじゃん」



「……!?」





可愛いのはどちらですか!?


そう言いたいのを抑えながら私は研磨に抱きつく。





「嫌だ。研磨帰ってほしくない」



「また明日会えるでしょ」



「そうだけど…今日はずっと一緒にいたかった」





こんなこと言っても研磨を困らせるだけなのに。


研磨もやはり少し困ったような顔をしていた。





「…ごめん、今日は我慢する。でも、研磨の家まで送って行っていい?」



「でも…外もう暗いよ」



「大丈夫。そんなに遠くないよ」





研磨は私に何を言っても引き下がらないと思ったのか、「じゃあもう行こうか」とすぐに外に出た。


冬の夜は少し風が吹いていて寒かった。





「ん、手」





研磨が手を差し出してきて、私は黙ってその手を握る。


直接「手繋ご」と言わないのもまた可愛い。


私と研磨の家はそこまで遠くなくて、着くのもあっという間だった。





「じゃあね」



「うん、また明日」





寂しいけど明日また会えるからいいか。


そう思っていると、研磨は私の手を離し、自分のマフラーを取って私の首に巻き付ける。





「気をつけて帰ってね」



「…うん、ありがとう」





今すぐ抱きしめたい衝動を抑えながらも、私は笑ってそう言った。

13→←11 〃



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (244 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
671人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 孤爪研磨 , 音駒
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チョコ - とっても面白かったです! (2020年12月7日 23時) (レス) id: b3f09b082b (このIDを非表示/違反報告)
Namo◎(プロフ) - りんごあめさん» こちらこそ最後まで本当にありがとうございました!りんごあめさんのようなコメントのおかげで頑張れました!これからもよろしくお願いいたします(^_^) (2020年4月5日 17時) (レス) id: ecfedaf1f0 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - お疲れさまでした!素敵な作品をありがとうございました。ゆっくりと休んでください! (2020年4月2日 22時) (レス) id: e7faacb67c (このIDを非表示/違反報告)
Namo◎(プロフ) - りんごあめさん» りんごあめさんありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!ネタが思い浮かんだらたくさん更新していきますね!そう言っていただけて助かります! (2020年3月16日 21時) (レス) id: ecfedaf1f0 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 研磨の作品で一番好きです!毎回ドキドキして、心臓が持ちませんよー(笑)更新楽しみに待っています!崩壊してないの凄い!! (2020年3月14日 21時) (レス) id: e7faacb67c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Namo◎ | 作成日時:2019年11月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。