高校生やから【橙】

episode : 2 ページ3

携帯電話が五月蝿い音を出して ,

私を強制的に起こす .




ちょっと前の私だったら憂鬱な朝だった .




でも , ジェルさんに出会ってそれは変わった .







「 おはよう , Aちゃん 」







毎朝私が玄関を飛び出せば ,

笑顔で手を振って待ってくれているジェルさん .




1階のリビングの窓を開けてくれていて ,

仲良くなってからいつも朝声を掛けてくれる .







「 おはようございます ! 」






「 おー , 今日も眩しい笑顔やな 」






「 ジェルさんのおかげです ! 」






「 嬉しいこと言ってくれるやん 」







わざわざ靴を履いて私の元まで来てくれる .




いつもはそこで数分話して終わりなのだが ,

今日は違った .




ジェルさんに急に手を握られ ,

驚いたのもつかの間 , 何かを渡された .







「 最近かなり冷え込むからなぁ , あげる 」







そう言って渡されたのは ,

羊の形をしたエコカイロだった .







「 え , え ?! 良いんですか ?! 」







「 ええよええよ , Aちゃん寒そうやし 」







私の膝上スカートを指差して ,

「 タイツか何か履かんの ? 」

と気を使ってくれるジェルさん .




「 ジェルさんに見せつけてるんです 」

なんて冗談を言えば ,

「 俺変態見たいやん , やめてーや 」

と冗談で返してくれるジェルさん .




本当にこの人以上の人とこの先私は出会えないと思う .




それくらい私はすっかりジェルさんに惚れていた .







「 あ , 時間やば 」







友達からの

「 まだ ? 」

という連絡がくれば時刻はかなり危なかった .




そして今日もいつもと同じ言葉を口にする .




今日は放課後予定があって会えないと思うから ,

朝に伝えることにした .







「 ジェルさん , 好きです !

付き合いましょう ! 」






「 186回目 , ごめんなさい 」







「 … 私 , 諦めませんから ! 」







「 おう ,

じゃ , 気ぃつけて頑張ってきや 」







今日も振られた .




あちゃー , とおどけて笑えば

ジェルさんが私の頭を撫でながら笑った .




ジェルさんと別れた後 ,

友達と合流し 「 顔が赤い 」と指摘された .




「 寒いからかな 」

なんて返せば , エコカイロを頬に当てた .




頭を撫でられて赤くなったままの頬を隠すために .




本当に学校前にそんなことするなんて ,

ジェルさんは罪な男だ .




そんなところも好きなんだけどね .

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