レンタル彼女【桃】

episode : 25 ページ27

ケーキ片手に , 俺は最高に気分のいい状態で街を歩く .


今日は , 絶対に無理だと言われていた大手企業との取引を見事勝ち取ることができ , めちゃくちゃに感謝されいつもより早い帰宅が許された .


時刻は17時半 , 今日は久しぶりにゆっくりAとお風呂にでも入る時間もある .




あれから本当に俺はA無しでは生活出来ない体になったと常々思う .

生活の1部に必ずAが居て , どんな時でも頭の中はAでいっぱいで .




あんなに可愛い彼女と再び交際する事が出来た俺は ,
本当に世界一幸せ者だと思う .




俺がまさかこんな早く帰ってくるとは思っていないAは , きっと驚くだろうし , 反応が楽しみだ .

なんて , ゆっくり玄関の扉を開けて , 気付かれないように忍び足でリビングへ向かう .








「 えー , 彼氏が怒っちゃうもん 」








そんな時だった .


廊下に響いたAの声 .

料理の準備中なのか , どうやらスピーカーで話をしている様だった .




俺という存在がいる訳だし , きっと友達だろう .

そう思いドアノブに手を掛けた瞬間 , 次は廊下に , 男の声が響いた .








「 大丈夫だって , 同窓会って言えば怪しまれねぇよ 」







「 でも優斗と , 春樹と , 拓也でしょ ?

男しかいないのに行きたくないよ 」







「 あんだけ高校生の時遊んだ仲じゃん !

久しぶりに4人でホテルで遊んじゃう ? 」







「 ちょっと , そんなことした事ないでしょ ! 」







「 なに , 照れてんの 〜 ?! 」








3人の男の名前 , ホテル , 遊ぶ




何で , 俺が居るのに … ?




行きたくないなら電話切れよ , そもそも俺が居るんだから男と電話なんてしなくていいじゃん , てか俺には女友達としか普段遊ばないって言ってたじゃん .


俺に , 嘘ついてた訳 ?








「 ねぇ , 誰と楽しそうにお喋りしてんの ? 」







「 … さとっ , み 」







「 誰とかって聞いてるじゃん , 答えてよ 」







「 … 高校の時の友達 」







「 ふーん 」








勢いよくリビングの扉を開けて , 野菜を切っていたのか , Aは心底驚いた表情と怯えた表情を浮かべて俺の方を振り向いた .


携帯のスピーカーからはまだ男の声が聞こえて , 思わず掴んで床に叩き付けた .




小さく悲鳴を上げたAなんてお構い無しに , 俺はAの髪の毛を掴む .







「 い"っ !? 」







そして次はリビングに , 男の声じゃなく , 乾いた音が響いた .

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