レンタル彼女【桃】

episode : 6 ページ8

目が覚めた時には , 部屋は暗くなっていた .

布団の温もりと , 腰に残る違和感で自分が何をしたかを思い出せば , 顔に熱が籠っていくのが分かった .




時刻は23時

最後に見た時計の時刻から , 約6時間は経っていた .




隣で一糸まとわぬ姿で寝息を立てているAを起こさないよう , ゆっくりとベッドから抜け出してリビングに向かう .




姿鏡に映る自分の裸には , 爪痕が残っていて , 相当理性なくAに溺れてしまったことが分かった .




自宅に招き入れたのは合意の上だったが , 体の関係を持ってしまったのは合意の上ではない .

訳も分からず煽ってきたAもAだが , 間違いなく立場的には俺の方が拙い .








「 どうすんだよ … 」







「 何が ? 」







「 おまっ , 起きてたのかよ ! 」








「 服ぐらい着たら ? 」








突然背後から掛けられた声に思わず驚いてしまえば , 鏡には下着だけ着けたAが欠伸をしながら立っていた .




服を着てないのはお前も同じだろ , だなんて突っ込みを入れて近くにあったバスローブを羽織る .




Aは人の家の冷蔵庫を勝手に開けたと思えば , 缶ビールまで空けて呑み始めた .








「 勝手に呑むなよ 」







「 誰かさんが !

暴走してくれたおかげで疲れてるんだよねぇ 」







「 … すんませんっした 」







「 よろしい , ほらこれさとみも呑みなよ 」







ソファに座って足を組みながら , 俺の分の缶ビールも空けて
横の空いたスペースを手でぽんぽんと叩くA .




誘導されるように俺はAの隣に座り , 勢いに任せてビールを胃に流し込んだ .








「 … この事は会社には黙っとくから安心してよ 」







「 まぁAから誘って来たし , 最後意識飛ばしてたもんな 」







「 やっぱり言おうかな !! 」







「 嘘ですごめんなさい 」








何で , ここまで俺に至れり尽くせりなのか分からない .


最初出会った時から , まるで昔を思い出させるような素振りばかり .
仕舞いにはレンタル彼女なのに , こうして家に連れ込んで体の関係まで持ってしまった .




酒が入ってもう酔いが回ってきたのか , 気分良さそうに笑っているAに思い切って , 話をしてみた .








「 … 何で , 許してくれるんだ ?


何で , 俺にだけAって呼ばせてくれた ?

何で , 家に来てくれた ? 」








何で , 行為中あんなに

「好き」

って言って来たんだ ?

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