6 / 5 【すとぷり】

episode : 33 ページ37

涙を零し始めたかと思えば,お兄ちゃんの足に縋り付く用に張り付いて,嗚咽混じりに声を発し出した.






「 そんなのっ , 俺達が苦しめてたようなもんじゃん !! 」





「 そんなことは … 」





「 俺達が , 助けを求められない環境を作ってたじゃん !!

リーダーの俺がぁ , 仲間を苦しめてたんじゃんっ … !! 」





「 違っ , 俺が弱かったのが 」





「 さとみくんは何も弱くない , 悪くだってない !!

大切な仲間が傷付いて苦しんでたのに , 気付けなかった
大切な仲間がそこまで追いやられてんのに , 呑気に笑ってた

… 毎日苦しかったよね , 本当にごめん 」






あぁ,前にもななもりさんのこの涙を見たことがある.
あのライブの時,同じ涙を見た.


他のすとぷりのメンバーだってそう.
今に吐き出してしまうんじゃないかってくらい,嗚咽混じりに声を出して泣いている.


どうして,そんなに1人の人間に執着出来るのだろう.
どうして,そんなに自分よりメンバー優先で生きれるのだろう.

どうして,悪くない皆が泣くのだろう.






「 … Aちゃんも , ごめんね 」





「 え … ? 」





「 さとみくんを , 仲間の俺達が助けてあげられなくて本当にごめん

謝ることしか出来ない俺達を許してください 」






病院の時以来に土下座をされた.
続いてメンバーも全員頭を地に付ける.






「 頭を上げてっ … 」





「 まじで皆悪くないのにそんな謝らなくていいから … 」





「 … こんな事を今言うのは違うと思うけど 」





私とお兄ちゃんが言っても誰1人として頭をあげない中,ころんさんが少しだけ頭を上げて,お兄ちゃんに向き合った.


ころんさんは鼻を真っ赤にし,目に沢山涙を溜めて,一言こう言った.







「 … 生きていてくれて , 良かった

さとみくんが居なくなっちゃう前に , 気付けて良かった 」





「 ころん … 」





「 僕 , さとみくん居なくなっちゃったら ,
今後この世界を , 生きてける自信ないもん … 」






にへら,と下手くそな笑いを涙を大量に零しながら浮かべるころんさんにお兄ちゃんは駆け寄った.


「違う,お前達は何も悪くない」
そう言ってお兄ちゃんも大量に涙を零しながらころんさんの事を抱き締めた.


周りに居たメンバーの事も強く,強く抱き締めた.


目を充血してまで涙を流す皆の顔は,心做しか最初より楽になった,そんな表情だった.

episode : 34→←episode : 32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す