【募集企画】天空魔法学院part2【小説ver】 (ページ5)

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第五十四話【朱鬼】ページ5

～鮮視点～

G室に着いた
扉を押し開ける

さて、愉衣さんはもう着いているかな

観客席からは歓声が上がる
来る前に"宣伝"をしておいたから、やはり女子生徒が多い

おや、あれは環か
見に来てくれるとは有難いね
あとでお礼を言いに行かなくてはね

開始まで残り60秒

「…流石、愉衣さんなだけあってプレッシャーは感じなかったか」

「遅いゾ、色鳥！」

「これは済まないね。道に迷っていた新入生を案内していたら遅くなってしまってね。生徒会の人間として、そういった子は放ってはおけないんだよ」

開始まで残り40秒

「ム、それは仕方ないナ！」

「あはは、ありがとう」

開始まで残り20秒

「模擬戦とは言え、戦いだ。相手が女性の愉衣さんであっても、手は抜かないよ」

「勿論ダ！私も本気でいくゾ！」

開始まで残り10秒

残り5秒

4

3

2

1

…0

「先制攻撃ではないが、目眩しでもしようか。"鷹藤"、行け」

藤色の瞳をした鷹が現れ、愉衣さんに向かって体当たりをしに行く
愉衣さんは優しいからね
喩え式神と言えど、形は本物のそれとなんら変わらない鷹藤を殴るのは気が引けるだろう

懐から発動アイテムである万年筆を出し、空中に"大蛇"と書く
その文字から大蛇が具現化される
大蛇は小生の周りにずるりととぐろを巻く
これで"盾"は完成

次は"矛"を作ろうか
さて、何にしよう

…なんて考えていると鷹藤を消滅させた愉衣さんが仕掛けてきた

「おや、随分と早かったね。鷹藤は弱かったかい？」

「お前、卑怯だゾ！」

「あっはは、戦いに卑怯なんて言葉はないよ。戦いは自由だ。何をしても、最終的には勝てばいい。"勝てば官軍"だよ」

殴りかかってきた愉衣さんを大蛇が弾く
その隙に"煙幕"と書く

「愉衣さんは優しいね。喩え偽物と分かっていても生き物には手を抜いてしまう」

煙幕は室内全体に広がり、愉衣さんの視界も、小生の視界も、全て隠してしまった

だが、これでいい

小生はとぐろの中から出て、場所を移動する
物音を立てないように移動するのはお手の物だ

さて、しばらくは大蛇の方に気を取られていると思うけど、その間に何を具現化させようか

と、思っていたけども

「おっと、危ないな」

具現化させていた大蛇が吹っ飛んできた
部屋の大きさを考慮したとは言え、普通の人から見たらかなり大きいほうだとは思ったんだけどな
愉衣さんのパワー魔法は計り知れないな

まだ煙は消えていないし、愉衣さんがどう出るか見てみようか