第三十五話【地獄狼】 ページ32
頭上にクリスタルが出現する。
ああ、始まんだね。めんどくせぇけど始まんのね。仕方ない、ここまで来たら後戻りは出来ない。
刀に手をかけ、鞘から愛刀『魂喰』を引き抜く。
そして引き抜いた瞬間に、刀を手にした右腕に痛みとも痺れともつかない衝撃が走る。
ああそう、待ちくたびれたってか。
鞘から引き抜いた瞬間に俺の腕から尋常じゃない量の魔力を食い始めやがって……。
一体どういう構造になってんだこの刀は。
生死を分けた戦いだったら、確実にヤバい量だぞ!?
……まあ今回の試合は俺的には全力を出す試合ではないし、相手のクリスタルを3つ程壊したらそれで良いと思っているからいいんだが。
そんなどうでもいい事を考えていると、試合の開始を告げるブザーがけたたましく鳴り響いた。
最初に仕掛けてきたのは向こうだった。
錬金魔法で作ったであろう剣やら斧やら色んな物がこちらに飛んでくる。
切れ味良さそうだな……。
だが残念。俺の切断魔法はあらゆる物を切れるんだ。
例えそれが魔法であろうともな。
その瞬間、時間が狂ったような錯覚を覚えた。
全ての物の動きが、高性能カメラで撮影した映像を見ているかのようにスローモーションに見える。
飛んでくる無数の武器、武器が風を切る音、体制を建て直して此方に向かって来ようとする動き……。
その全てが極限まで高められた『集中』によって、手に取るように分かった。
だがそれを感じるのは一瞬だけ。次の瞬間には、景色や物体の速度は元の状態に戻っていた。
……十分だ。
「喰らいやがれ。」
そして次の瞬間には、振り下ろした太刀から放たれた無数の斬撃が向かってきていた武器全てを細切れに切断し、ロロのクリスタルを同時に3つ破壊した。
……よし、満足だ。もうやらねぇ。
俺は攻撃を中断し、光学迷彩で姿を消した。
「……おら、遊ぼうぜ。」
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ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時