第十九話【地獄狼】 ページ18
入学式が終了した後、トーナメント戦までの時間を潰すために、俺は一人校舎の屋根の上で太刀を振り回していた。
式をほとんど寝て過ごしてしまったために筋肉はガチガチだったが、太刀を振っているうちに元の状態に戻ってきていた。
「……錆びなし、刃こぼれなし、ヒビ、傷もなし。全くすげぇ刀だよなぁ。」
血のように赤い刀身を見つめながら呟く。
この学校に来てから色んな物、色んな奴の魔法を叩ききってきたし、あいつとの剣術練習も続けている。
手入れはしてるにしても、ここまで切れ味の衰えない刀は見たことがない。……売ったらどれだけの値段がつくのだろうか。
そんな事を考えていると、向こうの方に丸太に腰かけている見覚えのある影を見つけた。
何度も見てきて、絶対間違えない自信がある影だ。
屋根から飛び降り、歩いてそっちに向かっていく。
「アイツ、強すぎなんだよな…。」
花菜だ。同じ国出身の幼馴染で、昔から一緒に剣術を練習してきた仲だ。
どうでもいいが、花菜が強すぎって言うほどの奴がいるのか……。
「誰が強すぎだって?」
「わぁ!ち、血潮!!」
声をかけると俺が後ろに居たことに気がつかなかったのか、こっちが驚く程盛大に驚いて盛大に丸太から転げ落ちた。
「ハッハッハ!大丈夫か?花菜。」
あまりに良い反応だったため、思わず笑ってしまった。
とりあえず手を差しのべると、その手を掴んで立ち上がってきた。
「それにしても、さっき言ってたあいつって誰なんだ?」
気になったため聞いてみたが、結局教えてくれなかった。
よくわからねぇけど、こいつが強すぎるって言うくらいだから相当強いんだろうな、そいつ。一度手合わせしてみたいもんだ。
「そんな事より練習に付き合ってくれないか?」
「あぁ、いいぞ。もう少しで対抗戦だしな。」
それからしばらくの間二人で剣を交えたが、これからトーナメントだと言うのに大丈夫かと思うほど暴れてしまった気がした。
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ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時