【25】夕焼けこやけで明日はない ページ34
喜峰「………あ、キャプテーン!」
保健室を出て、カバンを取りに行くべく教室へ向かっていた。早退ではなく、もう放課後だったのだ。
唐沢「喜峰くん!怪我は?」
喜峰「打撲と、内出血が少し?」
浪川「疑問系なのか」
声をあげて少し笑ってから、浪川くんはまた顔をしかめた。
喜峰「ところで、凪沢見なかったか?」
浪川「いや、見てねぇが……」
喜峰「くっそ…じゃあ部室か?」
唐沢「どうかしたの?」
喜峰「あいつ、俺たちが戦ってる時一人だけ逃げてたんだよ。井出ちゃんなんか蹴っ飛ばされて鎖骨折ったってのに」
唐沢「さ、鎖骨を!?…いい井出ちゃんってどこのクラス?今もしかして病院??」
私は取り乱して舌がうまく回らなくなった。私のせいで骨折した人がいるなんて!謝らなくちゃと思った。
浪川「井出ちゃんは3年の…なん組だったか?」
喜峰「稲妻総合病院に運ばれてたぜ」
稲妻総合病院…そう聞いて思い当たることがあった。
喜峰「つーか、凪沢探さなきゃ!じゃあなっ!!」
喜峰くんは誰もいない廊下を走って行った。喜峰くんがいなくなると、浪川くんは私を抱き寄せた。
浪川「お前が悪いわけじゃねえんだ。もう少し気を楽にしろ」
眼帯を着けた痛々しい姿の浪川くんに言われても、鼻の奥がつんとするだけだった。
.
唐沢「そういえば私、寝てばっかりだ」
浪川くんと少しだけ笑いあいながら教室のドアをあける。夕日が差し込み、教室全体がオレンジに溶けこんでいた。
その中に、凪沢くんも紛れていた。
浪川「お、おい、お前………喜峰が探してたぞ」
浪川くんが教室に踏み込むと、凪沢くんは「そんなのわかってる」と呟いた。
私も浪川くんに続いた。
凪沢「キャプテンもAも怒ってるだろ、俺が逃げたこと」
唐沢「怒ってなんかないよ。私こそみんなに迷惑かけちゃって、謝るべきだから」
凪沢くんは思い詰めているようだった。私の言葉なんて耳に入らないくらい。
凪沢「言い訳になっちゃうけどさ」
凪沢くんが唇を噛み締めた。私が歩み寄ると、凪沢くんは後ずさりした。
凪沢「見て」
すると凪沢くんは急に制服を脱ぎ始めた。学ランを脱ぎ捨て、シャツも脱ぎ、上半身裸になった。
浪川「お前っ…………」
凪沢「…………」
凪沢くんの左腕の付け根が、不自然に白かった。
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今日の海の男!
浪川「おい、そこのお前!…俺の彼女になれ!!」
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涙音(プロフ) - *文月*〜huduki〜さん» 返信遅くなってごめんなさい。こんな風に誉めていただいたのははじめてです。書いていて良かったです........!実は近々この続編を上げることになりました。もしよろしかったら読んでみてください。本作よりさらに良いものになるよう精一杯執筆いたします。 (2016年12月11日 23時) (レス) id: 541fead6be (このIDを非表示/違反報告)
*文月*〜huduki〜(プロフ) - 私は5年くらいこのサイトで色々な小説を読んできましたが、その中でこの作品がダントツで面白いです。もっと熱く語りたいのですが、文字数の上限をこえそうなのでこれくらいにしておきます。気持ちが伝わると嬉しいです。これからも素敵な作品を作っていってください。 (2016年11月14日 10時) (レス) id: bb022945e6 (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 律華@Twitterはじめました。さん» コメントいただいて久しぶりに戻って参りました…とりあえず少しだけ更新しましたが、夏休みに完結できたらと思います!すっかり放置してました… (2015年7月4日 21時) (レス) id: 71e3a373e6 (このIDを非表示/違反報告)
律華@Twitterはじめました。(プロフ) - 更新頑張ってください!続き見たいです! (2015年7月4日 5時) (レス) id: 7cb333b288 (このIDを非表示/違反報告)
海王星(プロフ) - 久しぶりの更新だね笑 相変わらずの素晴らしい文才!期待に胸が弾むぜ( ´∀`)← (2014年8月9日 17時) (レス) id: c49ea11c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時:2014年1月14日 1時