208 ページ8
.
「わが君、私の得た情報は違っております。
闇祓いのドーリッシュが言うには、ポッターは17歳になる前の晩、すなわち30日の夜中までは動かないとのことです」
魔法使いの成人年齢は17歳。
未成年の魔法使いには匂いがつけられている。
つまり、ポッターは匂いが取れて追跡が難しくなるまでは安全な所から出ないという事だ。
ドラコはヤックスリーの情報の方が正しいように思えた。
「我輩の情報源によれば、偽の手掛かりを残す計画があるとのことだ。きっとそれだろう。
ドーリッシュは錯乱の呪文をかけられたに違いない」
「畏れながらわが君、わたしが請け合います。
ドーリッシュは確信があるようでした」
「錯乱の呪文にかかっていれば、確信があるのは当然だ。ヤックスリー、我輩が君に請け合おう。
闇祓い局はハリーポッターの保護には何の役割も果たしておらん。
騎士団は我々が魔法省に潜入していると考えている」
「わが君、ドーリッシュはポッターの移動に闇祓い局から相当な人数が差し向けられるだろうと考えておりますし...」
帝王は蝋のような手を上げてヤックスリーを制した。ヤックスリーは恨めしそうにスネイプを睨みおとなしくなる。
あのお方はスネイプに深い信頼をおいているようだった。
それからも事あるごとにあの人はスネイプの助言を欲した。
ポッター奇襲計画と魔法省陥落の計画を話した後、床下から呻き声が聞こえた。
ドラコはビクッと肩を震わせ足元を見つめる。
「ワームテールよ、囚人をおとなしくさせておけと言わなかったか？」
「はい、わ、わが君」
テーブルの陰に隠れるように小さくなって座っていたワームテールが、慌てて立ち上がり大急ぎで部屋を出て行った。
「話の続きだが。
俺様は以前よりよくわかっている。
たとえばポッターを亡き者にするには、おまえたちの誰かから、杖を借りる必要がある」
部屋中の温度が一気に下がったのがわかった。全員が衝撃を受け、自分を選んでくれるなと身を小さくした。
「進んで差し出す者は？」
帝王の要望ならば、いつだって真っ先に名乗り出るベラトリックスですら、この時ばかりは目を背けて固まっていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：並木 | 作成日時：2017年3月13日 0時
