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ダンブルドアの頼みであるとしても、Aの心臓は何かに掴まれたように痛かった。
これが死に対する悲しみだと気付いた時。
Aの頰から初めて涙が溢れた。
仮面の中で落ちる涙を拭えないのは悲しかったが、この涙がバレないことが唯一の救いだった。
「あーははハハハハハはは!」
ベラトリックスの高らかな笑い声が聞こえてくる。
空に浮かぶ闇の印。
脳裏から離れない落ちていくダンブルドア。
ドラコも泣きそうな表情を崩さまいと必死だ。
落ちた杖を拾い、ぎゅっと震える手で握っている。
Aは無言で部屋を出てディメンターの様な服を脱ぎ、スネイプの部屋へと走った。
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部屋について、ベットに寝っ転がった時、扉が乱暴に開け放たれた。
その音にAは目を開く。
そんなAのローブを引っ張り、スネイプは乱暴に引きずる。
今までこんな扱いを受けた事はなかった。
「スネイプ!!!!!!!」
森へ出るとハリーが追いかけてきた。
スネイプは首だけハリーの方へ向く。
「校長は!!!お前を信じてたのに!!!」
怒りと憎しみを向けながら攻撃を仕掛ける。
スネイプは軽々とそれを受け流す。
「逃げるな!!!Aを返せ!!」
そこで初めてわかった。
自分はハリーにとっては拉致されていると思われているのだろう。
...ダンブルドアを殺したのはAなのに。
「貴様に返せと言われるとはな。
こやつは貴様と恋仲でもあるまい」
「……!!」
吐き捨てるようなスネイプの言葉にハリーは言い返せない。
そんな彼を横目で見て足を進めるスネイプ。
「セクタンセンプラ!」
その声にスネイプはAを自分の体の後ろへ隠して軽く交わした。
そして、ハリーに致命傷を与えない程度に呪文を放つ。
「呪文を考案した者にその呪文を放つとはな。」
フン、と鼻で笑ってから倒れているハリーの杖を蹴飛ばした。
ハリーは驚愕の表情を浮かべている。
「私が『半純潔のプリンス』だ。」
...掴まれていた手は敷地を出ると解放された。
そして引き寄せられるように抱きしめられると何の前触れもなく三半規管がおかしくなったのを感じる。
姿眩ましだ。
着いたのはスピナーズエンドのスネイプ邸。
バタン、と大きな音を立てて閉じた扉。
スピナーズエンドの大通りは静かだった。
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作者名:並木 | 作成日時:2017年3月13日 0時