▽渇望7 ページ8
.
「はじめまして、IT企業β副社長、如月と申します」
手短に礼をしたのは副社長が先だった。名刺交換等は話をつけた段階でどうやらしているらしい。
車から降りてきた"社長"はとても綺麗な、金髪の____
『あ"っ、』
gr「あっ」
碧瞳とばちりと目があってはお互い変な声を上げる。そう、言わずもがな今朝のグルッペンさん。まさか大手企業の社長が彼だとは思わないだろう。合コンで自己紹介してたっけ、と思い出そうと努力はしたが無理だった。酒の力で全部忘れてしまっている。
今すぐに消えてしまいたいと差し出された手を握って、恐る恐る彼を見れば彼も驚いている様で。
ぎくしゃくとした時間が流れ出す。
「東雲さん？」という副社長の声と、「社長？」という彼のお付きの人の声ではっとして手を離した。
「…失礼ですが、お二人はお知り合いで？」
『あっ、知り合い…というか、』
gr「まぁそんなところです。"東雲さん"とは仕事関係で以前何度かやりとりをささて頂いて」
「そうでしたか」
えぇそうです。
なんて綺麗な嘘を吐き出した。副社長にはごめんなさいだが、ここはこういうことにしておこう。
お付きの人がジト目で私とグルッペンさんを交互に見たがそんなのは知らない。もしかしたら本当はグルッペンさんがそういう人だから、私もそのうちの一人と思われている…？？
gr「今日は宜しくお願いしますね、東雲さん」
誰だあんた、と声をあげて叫び散らかしたい気分。
『えぇ、こちらこそ宜しくお願い致します』
グルッペンさん、なんて口にはしなかった。車内でのやりとりを思い出しそうで無理だったんだ色々。面白おかしく笑顔を浮かべて、副社長に連れられるまま先を歩いて行ったグルッペンさんにため息しか出ない。
横から「あの」と聞こえてきた声に、そうだまだお付きの人がいたんだ、と全身が硬直した。
『…はい』
tn「いきなり社長が失礼しました。私、トントンと申します。改めまして、本日は宜しくお願い致します」
『あっ…東雲Aです』
tn「えと…グルさん、社長が色々迷惑かけたみたいで」
グルッペンさんの背に目を向けてそう言ったトントンさんも、彼に色々振り回されているらしかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1412人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ビジネス不仲? - 詐欺師の朝ごはんはやばい (2021年8月25日 14時) (
レス) id: 7e1bdb3c05 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 待っておりました。お忙しいと存じ上げておりますが、素敵な読み物の続きが出たのが嬉しく、また感想を送ってしまいました。お変わりなくご息災を願います (2021年5月4日 12時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - とても素敵な読み物をありがとうございます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
つくもがみ(プロフ) - 好きです｡大好きです｡無理なさらず、更新頑張ってください｡ (2021年2月7日 15時) (レス) id: 5dd14ac0cc (このIDを非表示/違反報告)
雷斗 - すっき！！！！ (2021年1月31日 22時) (レス) id: ecb0b24c21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零
| 作成日時：2021年1月16日 16時
