▼感情21__em side ページ22
＊
これは、どういう。
tn「ここにある本、好きに読んでええから。エミさん、ちょっとの間頼むで」
em「え、あ、へ？」
tn「A、見とって。俺はちょっと出かけな」
em「…あぁ、はい。いってらっしゃい」
『行ってらっしゃい』
横で静かに口を開いた少女。思っていたよりも落ち着いた、そして綺麗な声。思わず其方に目を移してしまったら悪いだろうか、なんて頭は考えたけれど、それよりも前に彼女の方へと目がいってしまった。
グルッペンさんから大まかな話は聞いていたが。
見かけは10代後半、朱色の瞳で、可愛らしい声の。
雪山に埋もれていた、なんやっけ。
そこまで考えて、いつの間にかトントンさんが部屋から出ていたのに気がついた。ろくに女性とも話したことない自分が、彼女と二人きりになるなど地獄以外の何でも無い。
em「えと、エーミールと申します。Aさん、でしたよね。取り敢えず座りましょうか」
『…』
em「？あの、」
『なんとお呼びすれば宜しいですか…？』
em「…えと、長いし、エミさんでええよ」
『承知致しました』なんて、まるで機械の様。その場から動かぬ彼女に、紅茶を用意するから待っててくれ、と席まで案内した。トントンさんに話は聞いていたが、まさかここまでとは。
本当に学校へ行けるのだろうかと言う不安と、これはどうにしてでも俺がなんとかせなと湧き出るやる気と。
em「砂糖は、」
返答がほしくて彼女を見れば小さく首を横に振っていた。香りが少し強いこの紅茶は、最近自分のお気に入り。
街から少し離れた場所で買った、文句無しの一品。
em「今日は取り敢えず、君の力量知りたいんやけど…ちょっと待ってな。と、たしか…、」
席の奥にある棚からファイルを取り出して、中に入っている以前学校へ貸し出した基礎問題を取り出す。せめてこれが半分解けていれば、楽なんだが。
彼女の前にその紙とペンとをそっと置いた。
私からその紙へと視線を移した彼女は、まだ黙ったままで、紅茶の湯気とともにふわりと良い香りがした。
Aさん？、と名前を呼べば今度は彼女が口を開く番。
『これ、何て読むんですか』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1442人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
書記長カップル応援団隊長 - うふうふふふ((そのまま幸せになってしまえうふふ (2021年2月7日 7時) (
レス) id: c9022a3381 (このIDを非表示/違反報告)
モカブラウン(プロフ) - いえいえ！！こちらこそありがとうございます！コメントに返信が来るなんて...頑張ってください！私も自分の作品作り頑張りながらこの作品読みますねw続編おめでとうございます（？） (2021年1月3日 9時) (レス) id: e467f9631d (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - モカブラウンさん» ありがとうございます！夢主の一つ一つの発言や動作を考えるだけで楽しいし、可愛いなーと自分で書いてるくせに考えてます笑 なので本当にそう言って頂けると舞って喜びます！ありがとうございます、頑張ります！ (2021年1月3日 9時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - おぼろどうふさん» 反則ですよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！（書いてる途中でも自分の口角だんだん上がってるのはここだけの話） (2021年1月3日 9時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - シャノ＠楓さん» ありがとうございます！！だんだんと緩くなっていく夢主の性格可愛いんですよ…めっちゃ好きだと言って頂けて本当に嬉しいです！頑張ります！ (2021年1月3日 9時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零
| 作成日時：2020年11月29日 9時
