▼灰色の煙に ページ34
此方の気持ちに気づいてなのか、自分が口に出した答えに違和感を覚えたからなのか隣を歩く彼女は慌てて『忘れてください』と口を開いた。何がどうしてその思考にたどり着いたのか。
先程のあの言葉は彼女が秀才だから俺の考えでは届かぬ程に深い思考で出来たのか、それとも単に彼女に何かがあって無意識のうちに出したからなのか。
syp「あの、」
彼女の気を此方に向かせる為に足を止めた。ワンテンポ遅れて止まった彼女は俺の数歩先で止まる。
半身を振り返った彼女の目にはしっかり紫色が混じっていて、自分は一応ちゃんと認識して貰えているのだと謎の安心感が得られた。…じゃなくて。
本を持ち直して、数秒足元に視線を落とす。その間も彼女は黙って俺が口を開くのを待っていた。
syp「話くらいなら聞けますよ」
せめてもの救済を。逃げ道を。
反応が気になってちらりとAさんを視界に入れれば案の定面白いくらいに驚いた彼女が視界に入った。かと思えばすぐに元の笑顔に戻って、『なんだ、そんな事か』と呟く。
syp「…そんな事って、」
『ありがとうショッピ君』
ふわりと笑った彼女を邪魔する者はもう何も無い。あの国にいた時は、あの煩い上官がいたけれど。それでも正直、その上官に押し付けられた仕事を他愛も無い話をしながらAさんと二人でこなすのは嫌いではなかった。
『話したいと思った時に話しますよ』
ぐにゃり、と足場が崩れていきそうだった。いつから彼女は俺に敬語を使って、距離が一気に遠のいて、超えられない壁が出来たのか。面倒な男だと他人に思われようが何だって構わないがこれは事実。ちょっと酷過ぎやしないか。
少なくとも、向こうの国で二人きりの時は"ショッピ"として接していた筈だ。
それなのに。
この国にいる誰よりも"ショッピ"という人間がいちばん彼女と長い時間いた筈だ。裏切りとは実に最低な行為だと改めて理解する。
許されようとしている自分が許せない。
syp「Aさん、」
いつまで経っても続きが口から出る事はなく、ついに彼女の方から名前を呼ばれた。"ショッピ君"、と。
___あぁ、
『こっちの方がお好みかな？君の先輩として接している方が』
_____俺はこの人に、勝てそうにない
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しおりん(プロフ) - ふ〜ん！3ｺﾒ！続編おめでとうございます(о´∀`о)更新大変だと思います､頑張ってくださいね(*´▽｀*) (2020年6月23日 23時) (
レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
さわー - ふーん、2ｺﾒ!続編おめでとーございますっ！更新楽しみにしてますっ！(ですが無理はせず！) (2020年5月26日 15時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)
ピーたー - ふーん、1ｺﾒ！続編おめでとーございます！更新待ってます！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: a37e444ba1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年5月24日 14時
