▽悪足掻き３０話 ページ31
水圧が強い、と思った。どうでもいい、という考えが頭の中を支配していたし、特に怒ろうとも思わなかった。だって、馬鹿のする事なんざ興味ない。
ふと、チーノの言っていた言葉を思い出した。嘲笑っている、と。確かにそうかもしれないと今納得した。
床までびしょ濡れになってしまったから後で掃除しなければいけない。
補佐官！、と驚いた声を出す女の子の声がした。アリスはそれすら鬱陶しいとでも言うように彼女にも水をかけようとしたが、流石にそれはと、ホースの先端を即座に塞いだ。
まだ私にも、良心が残っていたらしい。
行き場を失った大量の水は、塞いだホースの、少しある隙間から勢いよく噴出する。それが飛び散って突然アリスの方に飛んだ。
Als「いい歳して水遊びなんて…信じられない‼せっかく新しいシャツを出したのに酷いわ！」
顔面蒼白もいいところ。みるみる彼女の顔は赤くなって、ホースを床に叩きつけた。蛇口を止めていないからホースは勢いよく暴れ出し、洗濯スペースは水浸しになってしまった。
もう知らないと走ってどこかへ行ったアリス。
「ほ、補佐官…‼大丈夫ですか」
『…猫って水苦手やっけ』
「ぇ、？」
『んーん。こっちの話。…にしても派手にやりすぎ。濡れてない？』
蛇口を止めてホースを拾い上げながら、彼女を見る。今にも泣き出しそうな顔をしていた。面倒だから泣かないでくれと思ったのはここだけの話。
先程までの良心なんて吹っ飛んで、やっぱり自分には心が無いのかもしれないと彼女を見てそう思った。
片付けを手伝おうとする彼女を断って、先に着替えておいでと促す。
無理に心配かけて後々何か言われるのが嫌で、へらりと笑ってみせれば余計に顔が歪んだ。
「補佐官、やっぱり私もお手伝いを」
『この事誰にも言わんでな』
「何故ですか…⁉私はやっぱりあの女幹部、信用なりません。鬱幹部の推薦枠を取ったのだって…！」
『あは、顔怖いでアルちゃん。次訓練なんやし着替えて』
何で私の名前、と口をきゅっと結んだ彼女は驚いた様に私を見た。
『仲間の名前くらい覚えとるわ』
そう言えばより一層泣きっ面になってしまったので、私は彼女の背を押して、急いでこの場から立ち去らせた。
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Cleanness - 私が人間不信になったのと似たような状況で驚きました、今も結局治ってないんですよね。 (2022年10月31日 21時) (
レス) @page48 id: e9a155fbb2 (このIDを非表示/違反報告)
すべりどめ(プロフ) - ありがとうございます、怪我しないよう気をつけます！笑続編おめでとうございます！ (2021年9月2日 20時) (レス) id: a4c6b9f1f2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すべりどめさん» 転げ回って怪我しない様祈ってますね笑 37話から明確に夢主が変化しつつあるので、好きになっていただけている様で良かったです。ありがとうございます！ (2021年9月2日 19時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
すべりどめ(プロフ) - 37話程からどんどん私のどストライクに夢主ちゃんが育っていくのを毎回転げ回ったり呻き声をあげながら悶えてます、毎度最高に尊いお話ありがとうございます (2021年9月1日 15時) (レス) id: a4c6b9f1f2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみれいんさん» 更新の度にちょっとしたスリルを味わいながら楽しんで頂けたら幸いです！最後まで是非お楽しみください！ (2021年8月31日 18時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年3月5日 16時
