35___夜 ページ21
ー赤井秀一sideー
部屋から呻き声がしてベッドの方を覗けば彼女がうなされていた。よくもまぁ、こんな雰囲気で眠れるもんだ…と感心していたものの。
やはり今日の事件、彼女からすれば大きなものだったんだろう。
声をかけてやりたいが、変装を解いてしまったし。
因みに言うと彼女の存在をすっかり忘れ、いつもの流れで風呂に入った。
そこで思い出した。
赤「はぁ…、」
今から変装をしようと思った矢先にこれだ。
うなされている奴を見過ごす程、俺は冷酷では無いんでね。
電気を全て消して、万一起きても顔が見えないような部屋の暗さにしてから部屋にそっと足を踏み入れる。
勿論変声機を付けたから、声は沖矢昴だが。
『ん、…犯人が』
『刑事、』と何故かうなされている彼女。
…夢で追われでもしてるのかこいつは。
そんな彼女を落ち着かせる為に、ひとまず布団をしっかり掛け直してやる。
それから_____
『あ、れ…』
沖「…」
再び目が合う。今日合わせるのは二回目だ。あの時、俺が油断して目を思い切り開いてしまった時。
ぼんやりと目を開けた彼女は寝ぼけているのか『刑事だ』とまだ言っている。
夢だと勘違いしているのなら好都合だが、そんな願いも長くは続かない。
『す、ばるさん…?』
へらりと眠そうに笑った彼女。
そうか、寝起きが弱いのか?まぁ知ってどうこうするつもりも無いが。暗いし顔も分からないだろうから、
沖「眠れませんか?」
彼女は声を頼りにするだろう。
完全に起きていない頭なら、こちらが顔を見せない限り俺を沖矢昴だと信じて疑わない。
別に、と強がる様に目を瞑った彼女は自分でまた布団を深く被って呟いた。
『…なんか、昴さん…なんですか……?』
_____あぁ、
布団を頭から被っているから完全に視界がシャットアウトされたであろう彼女は沖矢昴に声を掛けた。
沖「正真正銘の沖矢昴ですよ」
『…まぁ、そうですよ、ね』
再び眠気が襲ってきたのか、彼女の声がだんだん小さくなっていく。
妙に勘の鋭い、真っ直ぐな正しさを持った彼女に惹かれているのは事実。
俺もまだまだだな、なんて思いながら「おやすみなさい」と返せばもう返事は返ってこなかった。
_____バレてしまえばいいのに。
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零(プロフ) - いつも楽しみにしています!これからも頑張ってください!!!すきです!(名前一緒ですね) (2020年3月3日 17時) (レス) id: 0555cdda7c (このIDを非表示/違反報告)
Ray@二次元LOVE(プロフ) - 赤井さんによるコナンくんのトイレ近い認識にはめっちゃ笑いました(笑) (2020年2月2日 20時) (レス) id: 15ab691acf (このIDを非表示/違反報告)
陽毬 - 零さん» 今書かれてる映画のところ見ました!(テレビで、ですけど)原作の流れに沿ってて、夢主ちゃんが自然に登場してるのが面白いし楽しいです!毎回高評価ポチしてます 数には入んないんですけど、、無理のないペースで更新してください 楽しみにしてます! (2020年1月27日 21時) (レス) id: 8fcda6294e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 陽毬さん» 一気読みですか!?ありがとうございます…改行のところまで細かく見てくださってるとは…更新頑張ります!!真実はいつも1つ!(多分) (2020年1月19日 9時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - SAKURAさん» ありがとうございます!出来るだけ早めに更新出来たら良いです、頑張ります! (2020年1月19日 9時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年1月7日 11時