コナン君だけお引き取り下さい。II【沖矢昴】

27___彼女という存在 ページ5

ー灰原哀sideー




目の前にいるこの女の人は『あ"ぁ"』と呻き声に近い声で机に突っ伏している。


庭の方に視線を向ければそこには子供達の姿が。
流石小学生一年生というか何というか…まぁ、元気なら良いけれど


目の前のこの人がこんなんだから尚更そう見える




『哀ちゃんもトロピカルランド行こうね』

灰「私はパス」




生憎その日は予定があるの。


そう言って返せば『嘘だ』ときっぱり言われてしまった。ぱっと見、気怠げそうに見えるのに目を合わせれば予想以上にまっすぐで。
ふっと目を逸らせば再び行こう、と誘われた。
だから行かないって…



言ってるでしょ、




と言おうとした__





『小学生の頃しか楽しめない事あると思うよ、哀ちゃん…』





優しさ___




どこか姉と重なるような既視感に囚われる。だから距離を取っていたというのに。




『…ね？哀ちゃん行こうマジでおねーさん一人とかホント死んでも無理ですからお願いします』




そっちが本音ね…





灰「はぁ…分かった、私も行くわ。高くつくわよ」

『勿論勿論大歓迎ですとも！！…



あ、やっぱりお財布と相談って事で』





__江「灰原が気にかけんの珍しいじゃねーか」___



工藤君が言っていた事を否定する訳じゃない。むしろ肯定したいけれど、


肯定してるのは私じゃなくて、灰原哀なんだろう。




よく分からないけれど、
だけど睦月Aという人間に惹かれているのは事実。


『そうだ、哀ちゃん欲しい物ある？』

灰「あるわよ。私がよく使うブランドのバッグ」

『お、おおおおお値段は？』

灰「確かゼロが1、２、３、４____」



どんどん顔が青冷めていく彼女を見てふっと笑みが漏れる。表情豊かな優しい大人。


あ、大人なのかは微妙だけど

ほらこの人。偶に思考回路が壊滅的だから。



灰「嘘よ」

『哀ちゃんどんどん辛辣になってく』

灰「…別に何もいらないわ」






___トロピカルランド、連れてってくれるんでしょ？





『今度は哀ちゃんのデレ期だ』
灰「…二度と喋れないようになりたい？」
『すんません』



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