11.お手本の様な教師 ページ12
ー太宰治sideー
『______早く来る心がけは素晴らしいと思います。』
この教育係さんは礼儀正しい…というより堅苦しい。そんなに敬語をきっちりさせてどうするのだろうか。
せめて安吾くらいの柔らかさを持てばいいのに。何となく聞いていた話に適当に相槌を打つ。
中也との戦闘を録画見たけど、案外戦闘に向いていて驚いた。
『太宰君は、幹部なんですよね?』
太「まぁね。けど、別に良いこと無いよ?森さんは五月蝿いし…私は静かに心 中したいのに!」
『君じゃ無理でしょうね。
そう簡単には死ねなさそう。
その包帯もそうなのでしょう?今日も左頰に傷が増えてますし、』
淡々と述べる教育係さんはずっとニコニコ笑っている。
其の癖、言葉に笑顔は無い。
だから初めて会った時からあまり好きじゃなかった。
勿論蛞蝓より全然マシだけど。別に好きって訳じゃない。今まで教育係なんて居なかったのに、何で急に……
太「だってつまらないじゃない!こんな世界!」
本心だった。
『この世界が?……まぁ否定はしません。
太宰君がそう思うならつまならいのかもしれませんね』
太「あれ?呆れないの?教育係さん」
中也にこれ云ったら「は?」と呆れる様に笑われた。織田作や安吾に云えば不思議そうな顔をされた。
なのに、この教育係さんはただ笑っているだけ。否定も肯定もせずに薄い笑みを貼り付けて。
『私は君の教育係です。人の意見……ましてや、これから教え子になる太宰君の意見は否定しません
それとも、否定されるのがお望みで?』
なんか、変わった?
初めて会ったあの日はもっとこう、怯えた感じだったのに。
どことなく対応が冷たくなった様な…?けどまぁ私には関係ない。きっとこの教育係もそこらの黒服と同じだ。
「別に」と返せば曖昧に笑った返事が返ってくる。ソファに座る私と違って彼はずっと立っていた。成る程、それなりの警戒心はあるんだ。
『あぁ、そうそう太宰君』
ふと思い出した様に彼は私と視線を合わせた。
気持ち悪いくらいの笑みで。
『君がどれだけ捻くれようと、私は太宰君と中也君の先生ですから。
あまり舐めてもらっちゃ困りますよ。』
お手本の様な殺気と煽り。
妙な雰囲気の中、早く時間が流れないかとそっと足元に目線を落とした。
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ルイ - 面白かったです!頑張ってください!大好きです! (2020年8月2日 13時) (レス) id: c97e70c31b (このIDを非表示/違反報告)
翠翡(プロフ) - 作者様の色んな作品を読ませていただいております…本当、どれも大好きです……作者様のファンです…!無理せず、更新頑張ってください!(更新される度にお星様を押してるのですが無効化されてしまって…解せぬ…) (2019年8月19日 18時) (レス) id: b9f5a69d57 (このIDを非表示/違反報告)
557*ココナ(プロフ) - 新作…!トリップですか!!無理はしないでくださいね…? (2019年8月18日 21時) (レス) id: 5b405d618a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2019年8月14日 22時