検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:94,359 hit

11.お手本の様な教師 ページ12

ー太宰治sideー




『______早く来る心がけは素晴らしいと思います。』



この教育係さんは礼儀正しい…というより堅苦しい。そんなに敬語をきっちりさせてどうするのだろうか。

せめて安吾くらいの柔らかさを持てばいいのに。何となく聞いていた話に適当に相槌を打つ。
中也との戦闘を録画見たけど、案外戦闘に向いていて驚いた。




『太宰君は、幹部なんですよね?』
太「まぁね。けど、別に良いこと無いよ?森さんは五月蝿いし…私は静かに心 中したいのに!」
『君じゃ無理でしょうね。

そう簡単には死ねなさそう。
その包帯もそうなのでしょう?今日も左頰に傷が増えてますし、』





淡々と述べる教育係さんはずっとニコニコ笑っている。

其の癖、言葉に笑顔は無い。
だから初めて会った時からあまり好きじゃなかった。


勿論蛞蝓より全然マシだけど。別に好きって訳じゃない。今まで教育係なんて居なかったのに、何で急に……




太「だってつまらないじゃない!こんな世界!」




本心だった。




『この世界が?……まぁ否定はしません。
太宰君がそう思うならつまならいのかもしれませんね』
太「あれ?呆れないの?教育係さん」




中也にこれ云ったら「は?」と呆れる様に笑われた。織田作や安吾に云えば不思議そうな顔をされた。


なのに、この教育係さんはただ笑っているだけ。否定も肯定もせずに薄い笑みを貼り付けて。





『私は君の教育係です。人の意見……ましてや、これから教え子になる太宰君の意見は否定しません

それとも、否定されるのがお望みで?』






なんか、変わった?


初めて会ったあの日はもっとこう、怯えた感じだったのに。

どことなく対応が冷たくなった様な…?けどまぁ私には関係ない。きっとこの教育係もそこらの黒服と同じだ。
「別に」と返せば曖昧に笑った返事が返ってくる。ソファに座る私と違って彼はずっと立っていた。成る程、それなりの警戒心はあるんだ。




『あぁ、そうそう太宰君』



ふと思い出した様に彼は私と視線を合わせた。
気持ち悪いくらいの笑みで。





『君がどれだけ捻くれようと、私は太宰君と中也君の先生ですから。


あまり舐めてもらっちゃ困りますよ。』






お手本の様な殺気と煽り。
妙な雰囲気の中、早く時間が流れないかとそっと足元に目線を落とした。

12.十八の心境→←10.後ろの殺意



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (213 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
448人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ルイ - 面白かったです!頑張ってください!大好きです! (2020年8月2日 13時) (レス) id: c97e70c31b (このIDを非表示/違反報告)
翠翡(プロフ) - 作者様の色んな作品を読ませていただいております…本当、どれも大好きです……作者様のファンです…!無理せず、更新頑張ってください!(更新される度にお星様を押してるのですが無効化されてしまって…解せぬ…) (2019年8月19日 18時) (レス) id: b9f5a69d57 (このIDを非表示/違反報告)
557*ココナ(プロフ) - 新作…!トリップですか!!無理はしないでくださいね…? (2019年8月18日 21時) (レス) id: 5b405d618a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年8月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。