#赤髪の彼 ページ7
中也が任務へ向かってから数時間。此処最近鈍っていた身体が心配になり、部屋の中で少し短剣を振ってみる。
『っ、くそっ』
何度振ってもひゅんっ、と細い音しか出ない。姐さんの様な戦い方が憧れなのに。
これを云ったら姐さんに「女子は女子らしくせい」と笑われてしまった。姐さんも女子でしょ、という言葉をぐっと堪えて。
そんな時____ピコン、の携帯の通知音がする。
画面ロックを解除すれば画面に表示されたのは見慣れた名前。
織田さん飲みに行けるか?
"織田作"と太宰さんに親しまれている彼は、最下級構成員。だけど異能持ちでめちゃくちゃ強い。
彼からお酒に飲みに行こうと誘われるのは滅多に無い。まぁ私は未成年だから話し相手になるだけだが。
それでも彼等との時間は有意義で、それでいて____
鶴城A勿論です
私を笑わせてくれる。
*
カツン、カツン、と薄暗い地下の階段に自分の足音が響く。何度来ても慣れないこの階段で私は何時も緊張している。
何かいけない事をしている様な、そんな気分で。
「あれ?Aさん」
バーのカウンターに既に座っていたのは丸眼鏡の教授オーラの漂う人____坂口安吾。
『お久しぶりです安吾さん』
坂「最近仕事が忙しくて中々来られませんでしたから。偶には息抜きに」
ニコリと笑う彼は紳士の模範そのもの。
その隣に腰掛ければマスターは慣れた手つきで私にオレンジの爽やか炭酸を入れてくれた。
「相変わらずオレンジ好きですね」と笑う安吾さん。それを云ったら私だって疑問がある。
そんなにお酒を飲んで飽きないの?と。
坂「ふふっ、貴女がオレンジに飽きないのと同じですよ。僕もお酒に飽きた事は無いです」
「酒に飽きるのか」
『へぇ……って、織田さんだ』
何時の間にか安吾さんの隣を一つ開けて座る織田作之助は今日も今日とて天然オーラを放っている。
マスターに何時ものを頼んだ織田さんは私を見て「久しぶりだな」と笑った。
お酒を口に含んだ二人を見て少し羨ましく思う。
『私が成人したらまた飲みたいな』
そんな言葉は薄暗いバーに吸い込まれる様にして消えていった。
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★ayaka★(プロフ) - 面白かったです。すれ違いながらも互いを思ってるって良い話でした。 (2019年10月31日 1時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - 作品、29件ほど表示されましたよ。私の方では正常ですね (2019年9月8日 8時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
鏡の国のアリス - 完結(?)おめでとうございます!私此の作品だいっすきです!応援してます!お疲れ様でした。 (2019年9月7日 16時) (レス) id: f685bf0ca1 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 赤珠さん» ご報告ありがとうございます!申し訳ない、ホムペ利用小説が未公開になってました……()公開しました! (2019年9月3日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみかさん» ご報告ありがとうございます。他の作品もですか……本当に嬉しい限りです、ありがとうございます!!! (2019年9月3日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2019年8月14日 16時