#黒い外套少年の希望 ページ11
その場にぞわりと得体の知れない何かが広がる。咄嗟に隠れたその狭い場所は、よくエリス嬢が遊び場として使っている部屋のすぐ脇の本棚の隙間。
こんな場所にすっぽり収まるのは少々癪だが今は仕方ない。扉の向こうにいるであろう"鬼"にバレぬ様、息を殺しジッとする。
森「嗚呼、Aちゃんか。入って構わないよ」
何処か楽しそうな首領の声が部屋に響く。
扉から距離があるとはいえダダ漏れしている異様な気配に脚が竦んだ。
直感的にくる恐怖と不安。
『今鬼ごっこしてるんだ、今は開始五分弱……
芥川君"だけ"見つからなくてですね。
此処へ来ていないかと思いまして』
森「さぁ?私は見てないけど」
『そっか、疲れたんですよね私…そういえばエリス嬢は?』
ドキリと心臓が飛び跳ねる。
確かそのエリス嬢は自室で昼寝中。ならば、近くにいる僕の命は無い。
確実に_________
"殺される"
そこまで考えてハッとする。
何故こんなにも、今自分は怯えているのか。
殺される?今やっているのは鬼ごっこだ。捕まったら何があるわけでも無い。まぁ罰がどうこう云ってはいたが……
何故、殺されると考え______
『芥川君見つけた』
瞬間、心臓を貫かれた様な気がした。
『え、何で固まって…大丈夫?芥川君』
あの人が油断ならないと云っていた意味が今漸く分かった。
この人の前で気を抜いたら殺される。
此方へ伸ばす手を払って素早く立ち上がる。少し哀しそうに笑ったAさんが視界に入るが気にしていられる程余裕が無かった。
首領に礼を云って二人でエレベーターに乗り込む。
芥「他の奴等は捕まったのですか」
『うん、捕まった。
或る人は武装して、或る人は素手で…全部奪い取ったけどね。それにしても森さんの部屋とはよく考えたね、捜すのに時間が掛かった』
人を殺して来た様に三十名一人一人の捕まえ方をゆっくりと話していく。
この人が太宰さんの右腕なのか、と。
自分が目指すその高みへは……
まだまだ届きそうに無い。
______________________________________________
【文スト】問題児二人の教育係になったのはどうかと思う。
新作です、読んで頂けると嬉しいです
923人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
★ayaka★(プロフ) - 面白かったです。すれ違いながらも互いを思ってるって良い話でした。 (2019年10月31日 1時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - 作品、29件ほど表示されましたよ。私の方では正常ですね (2019年9月8日 8時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
鏡の国のアリス - 完結(?)おめでとうございます!私此の作品だいっすきです!応援してます!お疲れ様でした。 (2019年9月7日 16時) (レス) id: f685bf0ca1 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 赤珠さん» ご報告ありがとうございます!申し訳ない、ホムペ利用小説が未公開になってました……()公開しました! (2019年9月3日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみかさん» ご報告ありがとうございます。他の作品もですか……本当に嬉しい限りです、ありがとうございます!!! (2019年9月3日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零 | 作成日時:2019年8月14日 16時