▽非日常19 ページ20
1月6日。
毎年ゲーム実況界隈では、正月ウィークという運営から謎のゲーム大会が開かれている。私の元へは絶えず毎年連絡が来るが全て無視を決め込んでいた。だって言ってはないが活動休止みたいなものだし。
声明を出した訳でもないけど。Twitterの更新は空からなんか降ってこーいとかいう訳の分からんツイートで終わっていた。
横でゲームをする鬱くんを見ながら、ふと昔の自分を思い出した。
正月ウィークは明日から始まる。
『鬱くん、私ゲームしようかな』
ut「ゲーム？？しとるやん、今」
『そうやなくて、仕事』
彼にざっくりとゲーム実況や活動のことを話せば快くいいんじゃないかと賛同してくれた。
私の中でのケジメなんだと思う。これを最後にしなければならない、と何故だが謎の使命感があった。そうでなければいけない気がして、でもそれが何から来るものなのかはわからなかった。
あの日から、鬱くんは変わらず私と接してくれている。"ここにいていいよ"と言えなかったのは、きっと彼の未練を残してしまってはいけないと思ったからだ。
いつ、彼が帰るかわからない。
ut「ゲーム上手いもんね、Aちゃん」
ふわりと笑った彼の顔は綺麗だった。そこで、なんと無くわかった気がした。私がこうやってけじめをつけようとしているのは、シンプルなものなのだと。
『…鬱くん』
ut「なぁに？」
『私、君が元の世界に帰る時、ついて行ってもいいかな』
この世界にはずっと馴染めない。活動をし始めたのも、少しは多くの人に知ってもらえて共有できて、寂しさを埋められるからだった。でもなんでか続かなくて、街の中にも溶け込めなかった。
鬱くんは優しく笑ったままだった。
ゲームをする手をぴたりと止めて、自信なく膝の上に置かれた私の手を優しく取ってくれた。異世界から来た彼の手は、酷く暖かい。
ut「ええよ、おいで」
居場所がないなら作ればいいと、鬱くんはそう言った。
けじめをつける時なんだと思う。彼が来てから一カ月と数日。私の人生の歯車が、ようやく回り始めた気がした。
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通りすがり - この作品控えめに言って最高！！krr先生のギリギリセーフ…？には思わず声を出して笑ってしまいました！着いてきのね！？今後が楽しみです！ (6月20日 7時) (
レス) @page28 id: 321f9cd94d (このIDを非表示/違反報告)
C(プロフ) - めちゃめちゃ好きです…。語彙力もりもりな上、展開もとても面白く読み入ってしまいました。これからの活動も応援しております。 (2023年1月3日 14時) (レス) @page15 id: e37efb0c31 (このIDを非表示/違反報告)
へみおらのりりぃ - 面白いです！ がんばえ〜！ あ でも無理はしないでくださいねー！ (2022年12月11日 5時) (レス) @page6 id: 9448ccf0f8 (このIDを非表示/違反報告)
Licorice(プロフ) - 初コメ失礼致します。好きです。ありがとうございます。 (2022年12月10日 15時) (レス) id: a0eadc7796 (このIDを非表示/違反報告)
優斗サブ＠２(プロフ) - 異世界もの、いいですね〜。楽しみにしてます！ (2022年12月10日 10時) (レス) @page3 id: 8ea04a0aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2022年10月22日 16時
