▽意味27 ページ27
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翌朝、私の体調はとても良かった。１日分の薬を飲んでいないから多少体は痛かったけれど、あまり支障はないと思う。ベッドが起き上がったけれど、部屋に軍医の姿は見当たらない。
戦争の3日前だ。
おそらく救護の方の準備で忙しいのだろう。
机の上には大量の資料が積み上げられていた。
ガラガラ、と開けられた扉にふと顔を上げればそこにいたのはトントン様だった。
tn「あれ？なんであんたが…、」
彼はすぐにハッとした表情になった。
『違いますよ。ただの睡眠不足ですから、病に倒れたのではありません』
tn「…そっ、か」
彼は眉を下げた。俯いて、何かを考えていた。
嫌な予感はしなかったが、彼がどうやら難しいことを考えているのは確かであった。ふと顔を上げて、薬品を取りにきたらしいトントン様は戸棚から瓶をいくつか取り出していた。
死んだ顔をした彼の顔は朧げに私の姿を捉えた。
tn「もういっそ、しんでくれたらええのに」
酷く歪んだ顔だった。
それに反論する気力すら湧かせないほどだった。何故彼がそんな顔をするのかわからない。侍女に、女に、他人である私に負ける顔ではなかったから。
怖いくらいに慈愛に満ちたような目だったから。
tn「辞める気はないんか、この軍」
『今更ですか。私は後3日と少しで死にます』
tn「…寿命なんてそうきっぱり当てられるもんでも、ないやろ」
何事もなかったかのように彼は薬品瓶を片手に医務室の入り口に突っ立っていた。
彼が私にここまで固執する理由はわからない。
しんでくれたらいい。それは言葉の意味のままではなく、何度も何度も屈折したものだと思った。直感的だったけれど、そんな感じがした。故にトントン様は今の発言に謝ったりしなかったし、むしろ言えて良かったような顔をしている。
身勝手に生きて欲しいなんて、言えるような人じゃないのは、何となく肌で感じている。
戦で死ぬくらいならいっそ今苦しまずに死んで欲しい、とそう言われている気がした。
『ご心配、ありがとうございます』
彼は何も言わずに部屋を出て行った。
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優斗サブ＠２(プロフ) - 更新だ…！なんとも淡々としていて妙にリアルなこの小説が好きです…！ (2022年12月6日 19時) (
レス) @page18 id: 8ea04a0aaf (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 優斗サブ＠２さん» そのように思っていただけたようで何よりです。個人的にシリアスなものが好きなので、そう言っていただけて飛んで喜びました。お気に入り登録ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけたら幸いです😌 (2022年12月5日 19時) (レス) id: 7ee9bc58ce (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - y1157aさん» 心温まる感想、ありがとうございます。他作品も読んでいただけたとは…！嬉しい限りです。パスワード作品に関しましては殆どが制作中ですので、出来次第順次公開していく予定ですので、暫しお待ちいただけたらと思います。作品投稿全力で頑張ります！！☺️ (2022年12月5日 19時) (レス) @page7 id: 7ee9bc58ce (このIDを非表示/違反報告)
優斗サブ＠２(プロフ) - よくある、悲劇のヒロインの皮被った作品なのかなぁと思ってた自分を殴りたいです…いや殴ります。こういうタイプのシリアスを求めてたんすよね…！！！！！お気に入り登録失礼します(⌒∇⌒) (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: 8ea04a0aaf (このIDを非表示/違反報告)
y1157a(プロフ) - 作品大好きです。1度見て全ての作品読ませて頂きました。もしよろしければパスワード付きの作品を読ませていただければと思い感想の方投稿させて頂きました。新作の作品投稿これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月5日 0時) (レス) id: 24a3afa354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2022年8月9日 8時
