【d!】私、もう長くはないんです

▽意味30 ページ30

ギリギリになって、生きたいだなんて強情だろうか。


今まで散々どうでもいいなどと言っておいて、今更になってそんなことを願うのはずるいだろうか。


涙も出なかった。

こういう話は何度も読んだ。主人公は救われた。死んだとしても、最後は幸せそうだった。なのに何で私は、戦場で戦って散るわけでもなく、死ぬことに抗いもせず、ただ戦場で何の役にも立たずに倒れたのか。


今更になって後悔が押し寄せた。


開戦から半日しか経っていない。


辛うじて、両腕に力を入れて上半身を起こしたがダメだった。心臓が苦しくて仕方ない。



少し遠くに、見慣れた赤いマフラーをした男が見えた。

やけにスローにはっきりと、驚いた顔のトントン様の顔が見えた。

特に彼と深い会話をした訳でもなかった。ただ、戦地に行け、とそう命を下されただけだ。それから少し話しただけで。それだけでも、彼の優しさを知るには十分すぎるくらいだった。


私のような人間はきっと、たくさんいる。


たかが紙一枚で、こんな場所に駆り出された私は、今のような光景を見ることになってしまった。

あれさえなければ、あれさえ私が断っていたら。



まだ生きたい、と思っていたら。


彼は、彼らは、何度も提案してくれていた。それでもどうせ死んでしまうからと。


馬鹿を見るにも程がある。


何が戦地に行かせてくれ、だ。



「A！！！！」



誰が呼んだのかももうあまりよく、わからなかった。
ただ、あの人だったらいいなと淡い期待を胸に抱いた。


私は私自身を恨んだ。







今になって、この身が、惜しい。







此方へ伸ばされた、確かなその手は空を切り、私は血の海へと沈んで行った。


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一応、こちらでも始めましたのでご興味あれば是非
【2j3j】PTAに追放された教師ライバー
※後々ここからは消しまする

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