真夏の夜は貴方を想う2【SS】 (ページ19)

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貴方の鼓動ページ19

フッと上を見上げると、

「ッハァッ…やっと見つけた。」

「…っ！さ、櫻井先生…」

そこには肩で息を切らした先生がいた。

月の光に照らされてる先生の
真っ白なTシャツは透けていて、
前髪からは雫が垂れている。

「山田……」

私の名前を呼ぶ先生の声を聞いた途端

「っう…うぅっ…うわぁぁん」

涙が溢れてきた。
私は子供のように泣きじゃくる。

早く泣き止まなきゃ
そう思っていると、

ギュッーー

先生が私を強く抱きしめた。

「っ……」

冷え切った身体に先生の体温と鼓動が伝わる。
その腕の中は暖かくて頼もしかった。

そして、そっと身体が離れたと思ったら、

「…無事で良かった。」

そう言いながら、先生は私の涙をぬぐった。

微かに震えている先生の指先は冷たくて
私は思わずその手を握りしめる。

「…私のこと探しに来てくれたんですか？」

「うん、二宮たちに教えてもらった。
　あいつらも必死で山田のこと探してたよ。
　あとこれ、二宮たちから預かってた。」

私のスマホと鞄だ…

スマホを見ると、
お母さんと二宮君たちからの着信やラインでいっぱいだった。

みんなに心配かけちゃった…
そう思ってると、

ポンッーー

「さ、帰ろう。
　お母さんにもちゃんと説明しなきゃ。」

先生は私の頭に手を乗せ
優しく微笑んだ。