冷たくしないで ページ7
「なー佑真、今日学校で冷たくなかった？」
バイトから帰ってきた琉聖はそう訪ねてきた。
「え……だって……」
「だって？」
「俺達の関係バレたらマズイじゃん」
「えー？別に悪い事してる訳じゃないし」
「そーだけどさ……」
そう言いながら夕食を作った。
独り暮らしの時は結構手抜きだった。けど、琉聖のために夕食に少し力を入れるようになった。
「ってかさ、一緒に暮らしてるのに話さない方がおかしくない？あっ、カレー作ってんの？」
「うん。あのさ、琉聖って派手なグループの奴らとつるんでいるじゃん。僕はおとなしめだし、釣り 合わないし……周りから変な目で見られるし」
「ふーん。やっぱり人の目気にすんだな。佑真は」
「……」
カレーを盛り付け、食卓に並べた。
「うまそ……いただきますっ！」
がぶっと豪快にカレーに食い付く琉聖をじっと見つめた。
「うめえ……俺、辛すぎるのも苦手だからな」
「……辛いの苦手？」
「実を言うとな。……小さい頃食べた味、思い出す」
琉聖はカレーを食べる手を止めない。
「小さい頃？」
「あっ……そうだ俺、これ食ったら出掛けてくる」
そう言うと琉聖はあっという間にカレーを流し込んだ。
「ご馳走さまっ」
そして立ち上がって着替え始めた。
「なぁ佑真……」
「何？」
「冷たくするなよ」
「はぁ…」
「寂しいから」
「……。うん」
多分これは琉聖が心から思っている事なんだろうと思った。
表情を見れば分かる。
朝抱きついて来るのも……
こいつが寂しがり屋だからだろう。
「じゃ、ちょっと出掛けてくる」
「何処へ？」
「ヒミツ」
……パタン
閉まったドアを見て考えた。
そういえば僕は琉聖の事を全然知らない。
「小さい頃？」
さっきそう聞いた時も別の言葉でさえぎっていた。
アイツの事で知っていることなんてほんの少しだ。
そうだ、琉聖には親がいない。俺と同じように。
……だから話したく無いことがあったのかもしれない。
「琉聖……何しに行ったんだ？」
興味心……
もちろんそれもあった。
でも何より、アイツが僕の知らない所で、誰とどう過ごしているか知りたかった。
「自分から言わないなら、探っても良いよな……？」
僕は暗い夜道で、琉聖を見つけると
そっと、後を追ってしまった……
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しずく - 美桜さん» 嬉しいです！コメント有り難うございます！ (2018年6月1日 21時) (
レス) id: e858b83d04 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 右☆押していきますね〜 (2018年5月31日 17時) (レス) id: 1a66139d25 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - タイトルに魅かれてきましたが、すっごい惹きつけられますね！！更新頑張ってください！ (2018年5月31日 17時) (レス) id: 1a66139d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しずく | 作成日時：2018年5月29日 20時
