Smilest

20 ページ20

.



私「……ごめんなさい」




俯いて、膝の上に拳をぎゅっと
握りしめ、謝った。




私が、変な質問したから、



身をもって教えてくれたんだよね？



好きじゃなくても、キスとかできるって。





でも、私は聞く相手を間違った。



だって、ドラマとかで俳優さん達は



好きじゃなくたってキスとかするから。





藤「質問の答え、わかった？」





うんうんって頷いて、



顔をあげると、藤ヶ谷さんと目があう




やばい、



わたし、こんな人とキスしちゃった……





藤「ふっ、真っ赤じゃん、笑」



私「……こんなの、藤ヶ谷さんみたいに
慣れてないから」



藤「俺だって慣れてないよ、笑」



私「嘘だ、ドラマとかで綺麗な人と
たくさんしてる癖に」



俺「……仕事ではね。でもプライベートは
別でしょ、好きな子以外にキスとか
しないし」




好きな子以外……




私「……彼はね、してたの」



藤「……彼？Aちゃんの？」




頷く




私「キスじゃない事も。
私との約束やぶって、そういう事して、
……でも好きとかじゃないって」



藤「そっか……」



私「……裏切られた気がして、
ショックだった。……けど、
……違うかも」



藤「違う？」



私「藤ヶ谷さんもした。
好きじゃないくせに……」





騙されてもいいって思った




けど、



藤ヶ谷さんもサトシと同じように



好きじゃない私に簡単にキスした事に



ショックをうけてる自分がいる






浮気じゃ嫌なの



藤ヶ谷さんの、本気が欲しい




なんて、



こんな雲の上にいるような人相手に



バカだよ、私……





藤「……やっぱりわかってなかったね」





藤ヶ谷さんの手が、



私の頬に触れ、親指で目尻を摩った





藤「さっき、俺なんて言ったか聞いてた？」



私「……さっき？」



藤「彼がどうかは知らないけど、
俺は、好きな子以外にキスしないって
言ったんだけど」




え、



どういう意味？




藤「ためしてみる？」




わけがわからないまま、



藤ヶ谷さんを見つめたら、





またゆっくりと顔を近づけた……




.

21→←19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す