小さな幸せ 5

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薮「おい、宏光大丈夫か？！」




あまりの痛さか、みっくんは
頷くだけ




……私のせいで





「どいて下さい」




救急車が到着して救急隊員が
処置をしてる様子を呆然と見てる




薮「えーっと、Aちゃん……だよね？」




はじめましての薮くんが
隣りにいるのは、わかってるけど



なにも考えられない




……お願い時間を戻して




私が、飛び出さなければ



そしたらみっくんはこんな事に
ならなかった……





薮「怪我ない？」



私「……」



薮「あー、擦りむいちゃってるじゃん」



私「……」



薮「痛い？」



私「……みっくんが……」





ボロボロ、ボロボロと涙が溢れてくる



わたしのせいで、みっくんが……





私「……死んじゃう……」



薮「いや、大丈夫だから(笑)
思いっきりぶつかった訳じゃないし」



私「……でも、……いたいって」



薮「Aちゃんが揺さぶるから、笑」




薮くんが笑ってるから、
あまり深刻ではないのかもしれないけど



私のせいで、怪我したのは事実で



痛がってるのも事実で



涙は全然止まらない





「一緒に乗っていきますか？」



救急隊員の人が声をかけてくれる





薮「あ、はい。この子も手当てして
もらっていいですか？」




私の傷なんて、かすり傷くらいで
たいした事はないのに



一緒に救急車に乗せられて
手当てされる




私「いったっ！……くない」




消毒液が染みる



けど、こんなのみっくんの怪我に
比べたら全然痛くないはず




薮「ちょっと待って、笑
なんで我慢してんの？」



私「みっくんの方が痛いから……」



薮「だってよ、Aちゃん可愛いね、宏光」



北「おまっ、触んなよ？」



薮「わかってるよ、笑」




救急隊員の人の初見では、
あばらの骨折だろうとの事で、
病院で検査するらしい




北「おまえは、バカみたいに
飛び出すな」



私「……ごめんなさい」



薮「そういえば、なんで飛び出したの？
俺ら待ち合わせ場所行くのに
通りがかって、宏光が急にダッシュ
するから、何事かと思ったよ」



私「……指輪を落として……」



薮「指輪？それで飛び出したの？」



北「……あほ」



薮「大事なものだったんだね、
で、その指輪は？」



私「……」

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