小さな幸せ

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．




私「はい」



私の部屋で、コーヒーを差し出す



「サンキュ」




そんなに前の事ではないのに、



このやりとりも



ふたりの空気間も懐かしく感じる




「修理、いつくんの？」



私「たぶん、もう少し。
20時の予定だから、……話って何？」



「俺、知ってると思うけど、来週から
ロス行くんだ」




知ってる、会社中の噂だったから。



エリートコース、まっしぐらで



別れた事を知らない周りの子から、
羨ましがられたりもした




私「うん、がんばってね」




そうか、



もう会わないから、お別れを言いにきたのか




「……はい、これ」




紙きれを渡される




私「なにこれ？」



「飛行機のチケット」



私「……意味がわかんない」



「A、やっぱり一緒にきてほしい」




……




……




なんで？



なんで今更？




私「行かない」




「……言うと思った(笑)俺ね、
転勤が決まって、すごい考えた。
一緒に連れて行きたいって思った。
でも、知らない土地で、言葉も通じない場所で
寂しがり屋のAが耐えられるかなって、
向こう行ったら俺もいっぱいいっぱいに
なるだろうし、ほったらかしになっちゃったら
と思ったら、一緒に来てとは言えなかった」




……ずるい



相談もしてくれなかったクセに




私「じゃあ、今更言わないでよ……」




「Aと別れて、ほんとに後悔した。
やっぱり、連れて行きたい。
勝手なのはわかってる。
今でも、変わらずAが好きだよ」




……ほんと、今更だよ



どれだけ、苦しんだと思ってんの？



やっと、ふっきって、前に進めたと
思ったのに





ピンポーン♪



インターフォンが鳴って、



ドキッとした



みっくんが頭をよぎったから




私「はい」



「すみません、遅くなりましたー！」




修理屋さんの声に、ほっとする



そりゃそうだ、みっくんが来るわけない





「失礼しまーす」




お風呂場と、キッチンの給湯器を
行ったり来たりしてる修理屋さんを
目で追いながら




話を再開する




「A、よく考えてほしい。
チケット、１ヶ月先の飛行機だから。
俺は先に行くけど、待ってる」

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