小さな幸せ 2

66 〜Ki side〜 ページ26

北「A、待て！」



追いかけようとした腕を
掴まれる



「行かないで」



北「マジで、なんなの？」




家出とか言って、急にうちに来た樹


小学校3年生くらいまで、一緒に


過ごしてきたけど、親の都合で福岡に引越した




親同士は、たまに連絡取りあってたみたいだけど、


俺らは、会うことも、連絡をとりあう事も


していない




それなのに急に、家出だ、婚約者だ？



まじで意味わかんねぇんだけど




樹「ずっと、好きだったの。
宏、どんどん有名になっていっちゃって、
会いたくても、会えなくて、
でもずっと好きだったの。
お母さんに、いいかげん現実見ろって、
お見合い勧められて、飛び出して
きちゃった」



北「飛び出してきちゃったって……」




聞けば、ホテルもとってないとか
帰りの飛行機もとってなくて、



こんな時間じゃ、帰せないし……




北「今日だけだぞ」



樹「ありがとう」




Aに電話しても、出ないし、
家出ようとすれば捕まるし、マジで焦る



ぜったい、誤解されただろうし



頭の中は、Aでいっぱいだったけど、
とりあえず、目の前の樹を
どうにかしなきゃならない




小さい頃の樹しか知らないけど、


たしかに可愛くなってるとは思う



けど、やっぱりなんとも思わないんだよ





北「俺さ、悪いけど、この先も樹の事は
幼なじみとしかみれないから」




ちゃんと伝えておかなくちゃ




樹「嫌、私は諦めない。
だってこんなに好きなんだもん。
ずっとあの約束を信じてきたの。
だから、……諦められない」



北「約束って、……小さい頃
なんにも考えてないガキが
言った事だろ、それを鵜呑みにされても」



樹「……」




時間をかけて、説得して、



わかってもらえたのかは、わからないけど



これからも幼なじみとして応援するって



言ってくれた樹




樹「そんなに、あの子が大事？」



北「そ、すっげぇ大事なの、
だから、ごめんな」



樹「明日、空港まで送ってよね！」



北「わかった」




話しが終わって、転がったソファーの上で
何度もAに電話するけど、
繋がる事はなく、仕方なくメッセージ
だけ残す





やっと、手に入れた幸せを


簡単に手放したくはない

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