マスターがちっこくなる話 ☆ ページ27
(入寮後の話)
それは休日のことだった。薔薇の皇帝＿紅の麗人はひとり寂しく黄金の椅子に腰をかけていた。
数時間前のお供じゃんけんに敗北した自分の拳を恨めしく思いながら、見せつけるような笑みを浮かべてマスターと共に部屋を出て行ったロビンフッドの顔を思い出す。ネロの白い頬は、不満げに膨らんだ。
その時、窓がコンコンと叩かれる。その音の犯人の姿を視界に入れたネロは、溜息をつきつつ窓を開き、無礼な客人を招き入れた。
「いい加減、窓から入ってくるのはやめよ。アサシン」
「いやァ、受肉ってのも難儀なもんでね。霊体化できない分、こうして会いに来るしかないという訳さ」
黒い髪を夏の気配が残る風に遊ばせた男____燕青は、ゆるりと笑ってその手に持った小さな箱を差し出す。それには有名なケーキ屋のロゴが印刷されていた。
「生憎だが、今ここに奏者はおらぬ。少し前にあの弓兵とともに出かけて行ったぞ」
「うぇえへぇ、マジかよぉ」
そう言いながらもネロはそれを受け取り、備え付けの冷蔵庫へ入れた。燕青も、口でこそ、やっちまった感を出してはいるものの、靴をベランダに脱いで上がり込み、ベッドの端へ腰掛けた。このまま待つつもりのようだ。
「ここまで頻繁に奏者に会いに来るとは____そなたも骨が折れるな、アサシン」
「そうでもないさ。今までの時間に比べたら、マスターに会いに行く時間など、無いも同然ってね」
そう笑う燕青に僅かに微笑み掛けたネロは、慣れ親しんだ気配に気付く。____彼女が帰ってきたようだ。
先ほどの不貞腐れた表情からは一転して、ネロの瞳が煌めく。ぱっと華やいだ表情で、開いたドアに声をかけようとして____やめた。
マスターと共に出かけたはずの弓兵____ロビンフッドが、飄々とした彼らしくもない慌てた様子で、部屋に飛び込んできたからである。
「皇帝様____それにアサシンもか。はぁ……」
そして2人を視界に入れ、大きな大きな溜息をつく。頭に手をやるのも忘れない。その様子に、燕青もネロも首を傾げた。
「ロビンフッド、奏者はどうしたのだ？」
「魔力は確かに感じるがねえ。何があった？」
四つの翡翠の瞳に見つめられ、ロビンフッドは再び溜息をつく。その時、腕に抱えていた緑の外套が、もぞもぞと動いた。
そこから、ぽん！と音を立てそうなほど、元気よく何かが顔を出す。小さなそれは、くりくりの大きな瞳で辺りを見回し、青い顔のロビンに問いかけた。
「ロビンおにいちゃん、この人たち、だれ？」
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闇音(プロフ) - 初めまして。こちらのシリーズのお話、いつも楽しく読ませていただいています。ジーク君と1日デートするというリクエストは可能でしょうか？本編ならびに番外編も更新を楽しみにしています。 (2020年3月28日 1時) (
レス) id: f425466021 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳(プロフ) - いつもぜんざいさんの小説を楽しく読ませて頂いてます(>_<)すみませんリクエストなのですが、キングプロテアちゃんと夢主ちゃんとA組のお話が見たいです…！更新楽しみにしてます！ (2019年4月25日 20時) (レス) id: 2e7f27e19e (このIDを非表示/違反報告)
リリカ(プロフ) - こんにちは！いつも楽しみにしてます！ リクエストで岡田以蔵と夢主とA組の話をお願いします！ (2019年1月4日 9時) (レス) id: 317858aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンヌオルタサンタリリィ - 初めまして！インド兄弟楽しみです！それからリクエストよろしいでしょうか？私はロビンとビリーが取り合うのがいいです！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
夜ト(プロフ) - インド兄弟の続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2018年10月6日 16時) (レス) id: fa8e26fbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2018年5月27日 11時
