マスターを助けに行くアサシンの話 ☆ ページ26
これは献身ではない。奉仕でもない。
＿＿この感情は執着だ。
「ボス、あの写真の子の情報が」
「……なァに？」
「横浜の神野区にいるそうです。あの最近現れた＿＿敵連合とかいうやつらの根城のようで」
もう下がっていい、と適当に手を振ると、蜂を象ったふざけたヘルメットを付けた男は、なにかを机の上に置いて部屋から出て行った。なんであいつ、あんなの被ってるんだっけ？＿＿そうだ。付けさせたのは俺だ。
俺が、燕青ではない新宿のアサシンが＿＿"俺"であると、あの少女が見つけてくれると思ったのだ。惨めにも、あの時この目で見た愚かなアサシンの真似事をしている。己のマスターに真名を明かすことさえできない、哀れなアサシン＿＿＿いや、それは"俺"であった。
あの雀蜂が置いていったのは、数枚の写真であった。それに目を通せば、手を顔につけた不気味な男、継ぎ接ぎだらけの紫色の肌の男。血を顔にべったりとつけて微笑む少女＿＿どいつもこいつもイカレてる。敵連合、だなんて言ってたな。
「ボス、どちらに？」
「んー？神野ォ」
適当なジャケットを羽織って、部屋を出た。
さっきとは別の雀蜂が話しかけてくるが、適当に返事をする。こんなやつらに構っている暇などはなかった。
「何をしに行くんで？」
「……オマエが知る必要ある？それ」
そいつの質問に、足を止めた。
ゆるりと振り向いて、そう告げれば、雀蜂の身体は目に見えて震え始めた。それを鼻で笑って、体の向きを戻す。そしてそのまま居住地を出て、表に止めておいた車に乗り込んだ。
____黒い車が走り出す。
線になっていく街の光を見て、ぼんやり考えた。"俺"があの願望器に願おうとしたものは、第二の生などではない。あの奇跡のような少女と、ただこんな光景を____彼女が見てきた景色を、彼女の隣でもっと見ていたかっただけだった。
だが結果はどうだ。
俺はどうしようもなくくだらない第二の生を過ごし、少女は____他のサーヴァントを従え、屈託無く笑っていた。それを、俺は画面越しにしか見る事は叶わなかった。
思わず口元が歪む。面白くもないのに笑みが溢れる。
____"俺"が消えることを諦めてまで欲しがったものは、手に入らなかったのだ。
己の名も告げられず、主の側にさえいられない。
ああ、それでも、彼女への執着も、固執も、忠誠も、全てを捨てられずにあるのだ。
ただ、ただそれだけが、俺を"俺"で居させてくれる。
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闇音(プロフ) - 初めまして。こちらのシリーズのお話、いつも楽しく読ませていただいています。ジーク君と1日デートするというリクエストは可能でしょうか？本編ならびに番外編も更新を楽しみにしています。 (2020年3月28日 1時) (
レス) id: f425466021 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳(プロフ) - いつもぜんざいさんの小説を楽しく読ませて頂いてます(>_<)すみませんリクエストなのですが、キングプロテアちゃんと夢主ちゃんとA組のお話が見たいです…！更新楽しみにしてます！ (2019年4月25日 20時) (レス) id: 2e7f27e19e (このIDを非表示/違反報告)
リリカ(プロフ) - こんにちは！いつも楽しみにしてます！ リクエストで岡田以蔵と夢主とA組の話をお願いします！ (2019年1月4日 9時) (レス) id: 317858aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンヌオルタサンタリリィ - 初めまして！インド兄弟楽しみです！それからリクエストよろしいでしょうか？私はロビンとビリーが取り合うのがいいです！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
夜ト(プロフ) - インド兄弟の続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2018年10月6日 16時) (レス) id: fa8e26fbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2018年5月27日 11時
