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心臓がいつも通りに戻った時、また電話がなった。

「もしもし、目黒です」

「大谷です。さっきはごめんね」

「全然。もしかしてもう記者会見とかの連絡きた…?」

「うん、来た。一平さんの声大きすぎてチームメイトにバレちゃって…」

「楽しそうな人達だね。フィアンセって言われたのちょっと嬉しかった。」

何か聞こうと思っていたのに忘れてしまった…あ、思い出した。

「指輪…!あれどうしたの!ピッタリだし、ピッタリだし…!」

「Aちゃんのお母さんにサイズ聞かれたでしょ?」

「…あ、そういえば聞かれたかも、」

以前母と電話をした時あんた指輪のサイズなんだっけ?と聞かれたのを思い出した。
ジュエリーの話をしていたから全く気にしていなかった。

「気づかなかったんだ?」

そう彼はケラケラ笑う。こっちは本当にびっくりしたのに、と少し怒っているとごめんごめんとまたわらわれる。

「社長と話してね、その、あの…」

話そうと決めたのに、話せると思ったのに、反対されたらと思うととても怖い。
1度は言えたのに。何故、何故。

「うん、ゆっくりでいいよ」

「アイドル続けてもいいよって言ってくれて。
勿論翔平くんのこともちゃんとサポートするから、続けてもいいかな、?」


時々息が詰まってもうん、うんと優しく相槌を打ってくれる。

「勿論。俺はAちゃんにサポートして欲しくて結婚するわけじゃないから、それはまず分かって?」

「…うん、」

「Aちゃんが好き。だから結婚する。それだけ。ほかのこと考えないで俺に愛されててよ。」


この人は本当に……なんでこんなに恥ずかしいセリフが言えるのか、でも心の中ではすごく嬉しくて。心が暖かくなって、少し凍っていた心が溶かされていく気がする。
この気持ちを翔平くんにも味わって欲しい。
ポカポカして、心地いい、この気持ちを。

「うん、ありがとう。…あ、疲れてるよね。ごめんね」

「全然。俺もごめんね。ツアー頑張って」

「うん……大好きだよ、翔平くん」

恥ずかしくなって通話終了ボタンを押す。
変なやつと思われたかも、でも、それもいいかもしれない。

そう思い眠りにつく。
彼がどう思っているかも知らずに。

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作者名:なみ | 作成日時:2023年3月10日 22時

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