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私たちが出会ったのは私たちが幼かった頃。
2人の両親の仲が良く、どこに行くにも私と大谷は一緒だった。
幼稚園も同じ、小学校も同じ、中学校も同じ。
だが仲がいいわけでも悪いわけでもない所謂腐れ縁というやつだった。
私は彼のことを大谷と呼び、彼は私の事をAちゃんと呼んだ。
高校ではお互い別の道へ進んだ。
私はアイドル養成高等学校へ、彼は野球をしに他の高校へ。
お互い目的は違ったが目指す物はただ一つ。
"世界一"だったということを覚えている。
私も彼も卒業後はプロの道へ進んだ。
会う機会は減っていき、年末年始くらいしか会わなくなっていった。
…なのにも関わらずただ連絡を取っていく回数だけが増えていった。
今日はトレーニングをした、先輩とご飯に行った等私はお前の保護者か?と言うくらい逐一報告してきた。
嫌な気はしなかったし今まで知らなかった彼の一面を見れた気がして少し嬉しかったりもした。
それがいけなかったんだと思う。だんだん彼の違う一面にも気づき、彼のかっこよさに気づき、気づいたら彼に惹かれいた。
その関係が変わったのは彼がメジャーリーグに行く年のシーズンオフだった。
突然電話の呼び鈴が遠慮もなく鳴り響き私は起こされる。
「…何よ朝っぱらから」と寝起きの少し嗄れた声で言ったのをよく覚えている。
「Aちゃん。俺さ、メジャーリーグに行く。」
「知ってるよ、知りたくなくてもニュースで嫌でも見ちゃう。それで?それが何よ。」
「Aちゃん、俺と付き合ってくれませんか」
「…何言ってんの、浮かれすぎなんじゃないの。」
「本気だよ。アメリカでも、どこでもAちゃんと一緒にいたい」
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作者名:なみ | 作成日時:2023年3月10日 22時