143話▽夜が明ける ページ47
ホールケーキアイランドは想像以上の壊滅状態だった。
城の医療室が奇跡的に無事だったのがせめてもの救いである。
「帰ってたのか。ペロリン♪」
その後、ママさんと共にペロス様も島に戻ってきた。
自分が彼に会ったのは、負傷者達を医療室へ運んだ後……島の惨状を改めて見て回っていた時だ。
彼の右腕には、
『……遅ればせながら』
「話はモンドールから粗方聞いた。
ママへの報告も、アイツが上手いことやってくれるハズだ」
モンドール様、良い人だなぁ。
気配りが出来る方だとは思っていたが、まさに今それを実感する。
『助けられっぱなしですわ』
「……お互い様さ」
ペロス様と並んで歩く。
足元でビスケットの破片を踏み砕く音がした。
「カタクリが口元を出したそうだな」
『そうでしたかね』
「今は驚いているヤツらも……じき慣れるだろう」
フランペ様はどんな反応するんだろ。
そういや彼女を見てないな。
彼女に限らず……やはり受け入れるのに時間はかかるものなのか。
"変化"というのは、そういうものなのだろうか。
『……後悔しないと良いですね』
(彼も、自分も)
「……」
ふわり、と自分の髪が揺れる感覚。
ペロス様の手が、頭に乗っていた。
『……ペロス様？』
「ん？
あァすまない。つい」
『別に撫でてご利益とかないですからね！？』
愉しげに笑うペロス様。
その顔を見て、自分は胸がじんわり温かくなる。
さっきもそう。
──やっぱり自分は、人の笑顔が好きだ。
人を笑顔にするのが好きだ。
「3日後、おれ達は"ワノ国"に向かう。
色々情勢の問題があってな……ペロリン♪」
みんな休む暇もなく、もう次の航海に。
まぁワノ国行ったことないし、この機に行くのはアリ？
……なんて、ロケや旅行感覚か〜い！
『なら着替え詰めないとですねぇ』
「いや、お前には
『え』
まさかの留守番宣告に、自分は思わず声を漏らした。
「今この国には怪我人まみれ。
誰かが面倒を見てやらなきゃならねェ」
『そんで、それを自分に？』
「そうだ」
"引き受けてくれるな？"と問われたら、自分は断る理由もなく。
自分はヘラリと笑ってみせる。
『国のお守りはお任せください』
「頼りにしてるぜ。ペロリン♪」
町に眩い光が差す。
日が昇ったのだ。
こんな風に日の出の瞬間を迎えたのはいつぶりか。
──長い長い、夜が明けた。
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なめこ(プロフ) - 万さん» 万様、温かいコメントをありがとうございます！駄洒落は割と丁寧に作ってたのでそう言って頂けると嬉しいです。引き続きマイペースで頑張っていきます！ (2022年9月30日 19時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - 初めまして、設定も珍しく内容もとっても面白かったので一気に読んでしまいました！！主人公の駄洒落もついつい楽しみにしている自分がいました！今後も応援しています。 (2022年9月30日 0時) (レス) @page50 id: b14a1161fa (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» 橋本アリィちゃん様、感想ありがとうございます！また返信遅くなり申し訳ございません。今後もマイペースに作品更新していくので、よろしくお願いします！最後までのご清覧、本当にありがとうございました！ (2022年9月10日 13時) (レス) @page19 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても良いお話でした！今後も頑張って下さい！(*´ω｀*) (2022年1月5日 11時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 烏羽Pさん» 鳥羽P様、ありがとうございます！この作品で少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。今後も自分のペースで作品投稿を続けていくつもりなので、どうぞよろしくお願い致します。改めまして、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 13時) (レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 18時
