142話▽隠していた顔 ページ46
大家族の4男であるオーブン様が倒れ、現れたカタクリ様も瀕死寸前。
しかも
「兄貴……」
「口を隠してたワケは……」
カタクリ様はそんなヒソヒソ声を気にする様子もなく、こちらを振り返る。
その顔は、麦わらに負けたハズなのにどこかスッキリとしていて。
「Aッ」
『わ』
勢い良くプリン様に抱きつかれる。
え？息苦し……力強っ！
何気に傷が痛むんだがーッ！？
「……ごめんなさい。
私、結局あなたに頼っちゃった」
『！
……こちらこそ、側にいれなくてすみません』
しかしそんな体に鞭打って、自分もしっかり抱きしめ返す。
その背中の小ささに、"彼女もまだ16の少女であるのだ"と再認識して。
「助かったぜ……A」
『ペコ』
サングラスをかけた彼は、すでに
彼もまた、全身傷まみれ。
「鏡を出て……すぐ、捕まっちまって。危うく両目を潰されるところだったんだが……
その時運良く……"懐中時計"が。
ポケットから転がり落ちて、斧を弾き返したんだ」
『え、そんなタイミング良く？』
「本当にな。
とにかく……それで隙が生じて、おれは何とか逃げ出した」
にわかに信じがたい話だ。
それでも現に、彼はこうして五体満足で生きているわけだが。
……まぁ助けられたなら、良いか。
「……お前がくれた……"ビブルカード"のお陰かもな」
『ビブルカードが？』
「あァ。
ビブルカードには……持ち主の魂が宿る。
お前の気持ちが……おれを助けてくれたと、思ってるぜ」
ペコが差し出した時計。
その蓋には、確かに立派な斧傷が刻まれている。
そしてその中には……出航前に渡したカードが、変わらずそこに挟んであった。
「心配かけちまったな。
……今までも」
『！』
ペコのセリフに、止まっていたはずの涙がまた溢れてくる。
『……ぅう……』
「ガ、ガオ……！？」
「Aったら、また泣いてる」
ペコが心配そうにオロオロする一方、腕の中のプリン様はクスリと笑う。
そんな彼女の顔を覗き込み、自分も何とか笑い返してみせた。
『……ズズッ。本当は自分、泣き虫なんです』
「フ、そうみたいね」
恐らく相当酷い顔してるのだろうな。涙も鼻水も一切拭っていないのだから。
その顔を見て笑い出すプリン様。
……いや、ペコもブリュレ様も、カタクリ様も笑っていた。
「──"仮面"は、外れたようだな」
そんな笑顔を見ていると、自分もつられて笑ってしまうのだ。
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なめこ(プロフ) - 万さん» 万様、温かいコメントをありがとうございます！駄洒落は割と丁寧に作ってたのでそう言って頂けると嬉しいです。引き続きマイペースで頑張っていきます！ (2022年9月30日 19時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - 初めまして、設定も珍しく内容もとっても面白かったので一気に読んでしまいました！！主人公の駄洒落もついつい楽しみにしている自分がいました！今後も応援しています。 (2022年9月30日 0時) (レス) @page50 id: b14a1161fa (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» 橋本アリィちゃん様、感想ありがとうございます！また返信遅くなり申し訳ございません。今後もマイペースに作品更新していくので、よろしくお願いします！最後までのご清覧、本当にありがとうございました！ (2022年9月10日 13時) (レス) @page19 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても良いお話でした！今後も頑張って下さい！(*´ω｀*) (2022年1月5日 11時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 烏羽Pさん» 鳥羽P様、ありがとうございます！この作品で少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。今後も自分のペースで作品投稿を続けていくつもりなので、どうぞよろしくお願い致します。改めまして、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 13時) (レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 18時
