8話▽職場の雰囲気 ページ10
「お前はよ、覇気とかも使えんのか？」
秘書官として雑務をこなしていると、スパンダム長官から問いかけられた。
基本昼間は諜報部員達は任務のようで──尤もジャブラさんは本日休みらしかったが──指令室も静かなものである。
こうした雑談がなければ、ひたすら沈黙が続くのみ。
『い、一応見聞色？を……あまり役立ったことないですけど』
「マジかよ！お前実は色々すげェんじゃねぇの」
短時間ではあるが、彼と共に働いていて分かったことがある。
──この人本当にドジだっ！
今も驚いてコーヒーカップを落としかけていたし。
隣にいる私はヒヤヒヤしっぱなしだよ！
『本当、大した力じゃないんです。
ただ昔から人のオーラが見えるというか』
「オーラ？」
『はい。
例えば長官は……紫色のオーラです』
人は誰しも"個性"を放っている。
私はそれを、いわゆるオーラを目視出来た。
しかもオーラというものはそう簡単には変化しない。
よって1度相手のモノを覚えてしまえば、それを頼りに居場所を探ることも理論上可能だ。
ただ……そんな能力使う場面に遭遇したことはほとんどないが。
それに相手のオーラなんていちいち覚えないしね。
「……なんつーか。占い師みたいだな」
『は、はい！なんかすみません』
「いや怒っちゃいねーけど」
確かに怒ってはいないかもだけど！
明らかに"期待ハズレ"みたいな顔してたんだもん！！
本当は"未来が見える"とか"感情が読める"とかの方が使い勝手良さそうだしっ！！！
短い対話も終わり、再び静寂に満ちた作業タイムに入る。
……気まずい。
2人しかいない職場キツいよ！
何か言おう！話題を考えろA！！
『す、スパンダム長官は何か……覇気とか』
「は？」
今度は"何言ってんだコイツ"みたいな顔をされた。
えーん、難しいよCP9とのコミュニケーション！
「おれは使えねェよ。
何なら人を殺めたこともない」
『え、じゃあ何のためにココに……？』
「ブッ！
おま、お前言ってくれるじゃねェか……」
『すッすすすみません！私失礼なことを！』
気を抜くと思ったことをすぐ口に出す！私の悪い癖だ！
長官が口から吹き出したコーヒーを咄嗟に避けて謝罪をした。
「おれは親父と2代に渡ってここの長官やってんだ。
まァここに来る前にも、おれはCP5で主官をやってたがな」
なんだかんだ特に責めもしないスパンダム長官は、実は結構懐が深いお方なのかもしれない。
ただ単に私に興味がないだけかもだけど。いや多分そうか。
私達は談笑とまではいかないが……時折こうして駄弁りつつ、書類仕事を進めるのであった。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
