37話▼狙った獲物 ページ39
▼ジャブラ視点
おかしい。
この間からどうにもおかしいことになっていやがる。
「思ってたより早かったな」
『お疲れ様です！ジャブラさん』
「……おォ」
「丁度良い、次の案件についてなんだが──」
(Aってこんなに可愛かったっけか……？？？)
獣化したおれを優しく撫でたA。
たしかにあの時ァ素直に気持ちよかった。獣的な意味で。
小さい頃から親含め他人から撫でられたことなんてまず無かったしな。
むず痒いような、こそばゆいような。
形容し難いあの感じは不快感とはまた違った。
ただ……あれからだ。おれが変になったのは。
"またアイツに触ってもらいたい"と密かに思ってしまう。
「──い、おい！聞いてんのかジャブラ」
「！
あ、あァ……すまねェ長官、寝不足でよ」
目の前のデカい声で喋る上司の姿はぼやけていて、その隣でせっせと書類をまとめる秘書官にピントが合う。
違うな。おれはあの時からおかしくなったんじゃない。
確かに自覚が生まれたのは先日の件からだが……
おれはコイツの星のように光り輝く瞳に感じたんだろう。
──"正義に貢献するために、この力を使いたいと考えます"
おれには、おれ
人間ってのはないものねだりをするもんだ。
「それならとっとと部屋で寝てろ！
ったく、任務に支障があったらどうすんだ」
「アーアー分かってるよ。そんなら今日はもう休ませてもらうかねェ」
別にとりわけ美人ってワケでも、ギャサリンみたいに好みの顔でもない。
それでも出会った時から心のどこかで気にかかっていた。
"海の戦士ソラ"を読んでいた、遠い昔のおれを呼び覚ますような。
『だ、大丈夫ですかジャブラさん？
お部屋にカモミールティーでもお持ちした方が……』
Aに心配そうな声をかけられた。
思ったよりも距離が近く、おれは先日のことを思い出して少しニヤけそうになる。
(……こりゃカリファにバレてたかもしれねェな)
「や、気にすんな。ただの寝不足だし寝りゃ治る」
『そうですか……？』
ここにいるのはおれみたいな境遇のヤツら。
だからきっと……コイツが
(唾でも付けといた方が良いか？)
この前と同じように彼女から顔を背け、手だけで別れの挨拶をする。
指令室を出たおれは大きな伸びをしながら階段を降りて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 225人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
