38話▽信念 ページ40
「悪魔の実にはァ慣れてきてェ〜？」
指令室でクマドリさんから報告書を受け取ると、そう尋ねられた。
報告書に軽く目を通す。
うん、抜け漏れはないみたい。
というかいつも思ってたけどクマドリさん字綺麗だなぁ。達筆！
……独特な言い回しするから解読に時間がかかりはするケド。
『ハイ！……お陰様で』
「よよいッ！そいつはァ〜〜結構なこってェ！
どうかその"悪魔"にィ〜……飲まれなさんなァ」
悪魔、確かにそうだ。
その能力と引き換えに一生海に嫌われることになる。
"悪魔の実"と最初に名付けた人は誰だか知らないが、言い得て妙だとつくづく思う。
『クマドリさんは……悪魔の実は食べないんですか？』
「おいらはァ〜〜汚れなき"正義"を背負いし者ッ！
故に悪魔をこの身に宿すことなど言語道断！ァよよいッ！！」
彼には彼なりに"正義"へのこだわりがあるようだ。
クマドリさんってCP9の中でも特に正義を重んじているように思う。
……その結果暗殺を行なっているワケだけど。
それもまた彼なりの正義ってこと……になるのかな？
「おいらの"おっかさん"もォ〜暗殺業を営むこと数十年ッ！
"悪しきを成敗する"ッッ！！
これ即ち正義なりとォ〜〜〜！！！」
『お母様も……殺し屋なんですね』
この言い方じゃあ、クマドリさんもそれに感銘を受けて
そもそもここに任命されるまで、私は"殺し屋"なんてものが実在するとも思っていなかった。
なんなら"海賊"だってこの前戦った時初めて見たもん。
(……私って)
もしかしてこの世界のこと、何にも分かってないのかもしれない。
正義なんて語るのもおこがましいくらいに何にも知らないや。
「……ァよよいッ！
あよよいよいよいよよい〜〜〜ッ！」
『！』
「おいらだってェ……グアンハオにいた時はッ！
ぁそりゃ〜未熟で無知な小童でェ！」
クマドリさんは力強く、私を励ますように語り出す。
その声で……私はいつの間にか、自信なさげに俯いていたことに気がついた。
「それでも焦る必要はねェよォ。
時の流れはみな平等！誰しも自然と成長していくもんでェ。
だから己は……"信念"だけを見失わぬように生きりゃあ良いのさァ」
"達者でなァ！"と言い残し指令室を立ち去るクマドリさん。
私はその背中に慌ててペコリとお辞儀をする。
『信念、か』
私も"正義"を見失わずにいよう。
どんなに迷っても、それだけは裏切ってしまわないように。
彼なりの激励に、私は報告書を握る手に力を込めた。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
