33話▽16歳の暗殺者 ページ35
「いッッ……」
『あー、結構深いね』
気づけば年末年始を迎えていて、今は1月半ば。
エニエスロビーではまぁ……年明けイベントなんかはやらないんだけど。
部屋に飾っているカレンダーを貼り替えてようやく実感したってところだ。
ここにきて約半年が経ったのもあり、今では用度品や薬箱の位置もしっかり把握している。
だから今は
『痛い？私消毒とか慣れてなくて……』
「ッ、いや……平気じゃ。続けとくれ」
話を聞けば、どうやら彼はジャブラさんと手合わせしたらしい。
"道力"？を測ったらカクの方が低かったようで、それで火がついて気づいたらしてたと。
(それって喧嘩って言うんじゃないかなぁ)
「……子供っぽいと思うとるじゃろ」
『え？』
目前で俯く彼の口からポツリと漏れた言葉に思わず聞き返す。
いや……むしろ今までがだいぶ大人っぽすぎというか。
年下のはずなのに年上に感じてしまうというか！
今が16歳なんだよね？
だったら……
『私は年相応で良いんじゃないかなーって思うよ？』
どちらかといえばジャブラさんが大人気ない気もするケド。
お互いプロだし喧嘩も手加減無しなのかな。
消毒液で濡らした綿を傷口に塗り絆創膏を貼っていく。
はじめは痛がっていたカクも慣れてきたのか、今は黙ってされるがまま。
先ほどまではどこか落ち込んでいたのだが……少しずつ元気を取り戻したのか、今度は不満を垂れはじめた。
「だいたいアイツは昔っからそうじゃ。
何かとちょっかいをかけてくるわ、こっちでも年長じゃからと威張ってくるわ……」
『はは、仲良いんだね』
「どこがじゃ！？
わしはアイツに！グアンハオで！
タランチュラを服の中に入れられたこともあるんじゃぞ！？」
"こんなでっかいヤツじゃ！"と両手で長さを示すカク。
嫌なことを話しているはずなんだけど、表情はとても生き生きとしていた。
グアンハオ。前にジャブラさんも言ってたな。
CP9の方々は、そのグアンハオってところで一緒に育ったのかな？
──おれにゃ
ジャブラさんが昔を懐かしむような瞳をしていたのを思い出す。
(その頃、楽しかったのかな)
「A、聞いとるか？」
『え、う、うん！モチロン！
本当仲良いねカクとジャブラさん』
「聞いとらんな！？」
子供らしく怒れる彼を見て、私は心の奥底でホッとするのだった。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
