【5部】ロキとレクイエム【ジョジョの奇妙な冒険】 (ページ17)

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彼女の謎② ページ17

彼女は静かに続ける

「君の能力は素晴らしいものです。人質をとるのに最適任だ。拷問とか誘拐とかその他諸々ね。私は情報部だから君らのような、前線で身体を張って組織に貢献してくれるような人間はできることなら消したくない。向上心もあるしね。君だってこんな所でバラされたくないだろう？」

ズッケェロは涙目になりながら身体部分の受けるちょっかいに耐えている。ポッケから足元にすっ飛んできた財布を拾い、身分証かなにかが見つからないかを探す。やはり彼の名前は「マリオ・ズッケェロ」だった。彼女は彼を知っていたんだ。一方的だろうけど

「もし、君がこの……ブチャラティの下へ着き、我らと共に行動し、彼へ忠誠を誓えると約束できるのなら。私らは君、いや…君たちへそれなりのポストを用意し、分け前だって渡そう」

「彼ら(ブチャラティら)は頭が切れる。それは君も痛いほど理解しているはずだ。彼は必ずこのパッショーネの上へのし上がる。そうすれば君は彼について行くだけだ、簡単さ。たったそれだけで「ただ幹部になるだけ」よりももっと美味しい目が見られたりしてね。いや、これは確実とは言い切れないかもな。でも、面白いギャンブルだと思わないか？」

彼女はそう言ってズッケェロの頭を掴み、未だ身体を蹴ったり踏んだりされている彼の身体へそれを近づける

「おい！A！何してるんだよ！」

案の定、彼の身体を弄んでいた3人はそれを止めようと動く。僕も流石に行動が軽率すぎると感じたが、彼女は大丈夫、くっつけない。と一言発し、話を続ける

「選べ。死か、忠誠か。君がこの選択を間違えるほど馬鹿な男ではないと信じたいものだがね」

先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、僕らはギャング(・・・・)の顔をしたAを見た。無慈悲、ただ無感情。鉄のように硬質で、どこか冷たくも感じるその声は、周りを静寂にさせるには余りに強烈過ぎた。Aはギャングだ。そう認識させられる瞬間だった。僕は無意識にゴクリと喉を鳴らし、乾いた口をどうにか潤してズッケェロを見やった。彼の口元のジッパーは彼女の手によってズラされ、静かに閉ざされていた。時々ふるりと震え、その答えの一言を捜しているようにも見えた

「お、オレはよォ……ブチャラティへ忠誠は誓わねえ…アイツがいくら頭が切れて、上に昇る才能があったとしても……アイツに着くくらいなら死んだ方がマシだと考えているぜ……」