悲劇の後は ページ33
。
妊娠？
それは、神威の？それとも、十四郎さんの？
私が一夜を過ごしたのは神威だけか。
神威。ありがとう。あなたは最後にとっておきの宝物を残してくれた。
涙は出てきそうになったけど堪えて笑ってみせる。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。感謝、しきれないよ。
大江戸病院に汗だくできた十四郎さん。
多分この人は私のことを好きなんだと思う。
そんな人に他の人との赤子を授かったなど到底言い難い。
でも、これは伝えなければならないこと。
｢妊娠だそうです。｣
いつもより少しだけ低い声が出た気がする。
｢……その子の父親は────？｣
｢父親は、大変申し訳ながら神威でございます。｣
産みたい。私は彼との子を産みたい。
｢お願いします。産ませてください。｣
病院のベッドの上でひざまついて頭を下げる。
｢俺に決定権はない。親はAだ。
育てるなら、俺は手伝う。父親じゃなくとも、父親役になれるように。｣
この人を愛せたらどれほど楽なのだろう。
でも、私はこの人を愛せない。
神様は悪だ。
この人を愛したいのに愛せない。愛すことが出来ない。
全て捨ててこの人のことを愛せたらどれほど楽なのだろうか。
｢ありがとうございます。
早速、彼にに報告したいので失礼します。｣
と言って病院を出る。
｢俺も、行かせてくれ。｣
｢……私の愛する方は嫉妬深いので呪われても知りませんよ？笑｣
｢構わねぇよ。笑｣
｢そうですか｣
早速墓地へ足を進める。
合唱してお参りする。
｢神威。私が第七師団を去る四日前の日。貴方は私のわがままを聞いてくれたね。抱いて。なんていきなり言った私に何度もいいの？と聞いてきたね。
あの日、急すぎてゴム無しだったよね。私は初めてでキツかったけれど、優しくしてくれた。その結果、こどもをさずかることができたよ。
神様に、感謝しないとね。｣
長々と喋りかける。
ぶふぉっ
いきなり強風が吹いた。
それは、神威が喜んでいるように感じた。
それはただの私の気のせいかもしれないけど。
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リム - すごく泣けました。素晴らしい作品、ありがとうございます。 (2017年8月6日 17時) (
レス) id: b9e9b101f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(* ” ) - 小説がきになります！更新頑張ってください (2017年4月7日 0時) (レス) id: 57516f0401 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこな | 作成日時：2017年4月6日 21時
