第四話 桜の恋の自覚。 ページ26
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『ただいま』
誰もいない部屋に呟く。
部屋着に着替え、澤村先輩にもらった肉まんを頬張りながら律と話す。
『律〜、今日みたいに勝手に出てきたら駄目だよ〜?』
『バレるんじゃないってひやひやしたんだから』
「すみません・・・でもあんな速攻初めて見ました!」
『やっぱりすごいよね』
『・・・あ、そういえば、律に訊きたいことがあるの』
律「なんでしょう?」
『菅原先輩のことは前話したよね?』
律「いつも一緒に登下校しているあの爽やかな人ですよね」
『うん』
『今日ね、帰り道、菅原先輩にドキッて胸騒ぎみたいなのがしたんだ』
『これってなんなのかな?』
律「Aさん、それはズバリ恋です」
『え?』
律「恋です」
『ん?』
律「Aさんは菅原さんに恋をしています!」
『え?!』
『私が?』
律「最近のAさんを見ていましたが、もう恋する乙女です!」
『・・・そうなのね』
律「はい!そうです!」
ピンポーン
『え?』
誰かと思い、モニターを見ると
『菅原先輩!?』
私は通話モードにした。
『はい、咲花です』
菅原[あ、A、体育館でヘアゴム落してたぞ]
[さっき、返そうと思ってたんだけど忘れてた]
『え、あ、ほんとだ』
いつも腕にしているヘアゴムがなかった。
てか、やばい。
律に言われて、菅原先輩のこと意識しちゃって上手く話せてるか分かんない
『今、鍵開けますね』
[おう]
それから数分後。
玄関からノック音が聞こえた。
『はい』
菅原「急に来てごめんな、はい、ヘアゴム」
『ありがとうございます』
菅原「じゃ、また」
『あの、良かったら』
菅原「ん?」
『よかったら夜ご飯、ご一緒しませんか?』
え
私今なんて言った?
夜ご飯、ご一緒しませんか?
え。家に上げるって事?
確かに、律と二人で寂しかったけど?
菅原「え!ほんと!?」
やばい。この期待に満ち溢れた目。
なんかここでやっぱりだめっていうのはダメな気がする。
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・
菅原「広いな〜!こんなところで一人暮らしか!」
『あ、あはは』
上げてしまった。
私馬鹿すぎる。
律に助けを求めようと携帯画面を見ると
“頑張ってください”と書かれたノートを持った律が映っていた。
『うう〜』
菅原「え。どうした?」
『なんでもないです〜!』
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作者名:名稀ーなきー | 作成日時:2024年2月15日 16時