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今影山は、田中先輩の方に上げようとしてたはずなのに
日向の声と動きにとっさに反応して
あそこまで正確なトスを
今のところ、口の悪さばっか目立っちゃってるけど
『すごいな〜』
「ですね！」
と私にしか聞こえないような声が下から聞こえてきた。
まさかと思って携帯を手に取ると
『ちょ、律？』
清水「Aちゃんどうかした？」
『え、あ。なんでもないです！』
私は口パクで“今出てきたらヤバいからちょっと待ってて”と律に伝える。
すると、画面の中の律は敬礼をし、画面から消えた。
『ふぅ』
田中「おい、お前らクイック使えんのか？」
日向「クイック？」
田中「今みたいな速い攻撃だよ！」
日向「あ、全然・・・俺ポーンって山なりに上がるトスしか打ったことないです」
田中「でも今やったろ」
「それにお前中学ん時、素人セッターのミスったトス打ったろ」
「ああいう」
日向「でもどうやったかは覚えてないです」
田中「ううう」
日向「でも俺、どんなトスでも打ちますよ！打つからな！」
影山「・・・合わせたこともないのに速攻なんて無理だろ」
日向「何だお前変！そんな弱気なの気持ち悪い！変！！」
影山「うっせーな」
月島「王様らしくないんじゃなーい？」
日向「今打ち抜いてやるから待ってろ！」
月島「またそんなムキになっちゃってさ」
「何でもがむしゃらにやればいいってもんじゃないでしょ？」
「人には向き不向きがあるんだからさ」
「君、明らかにスパイカーに向いてないでしょ」
日向「・・・確かに、中学ん時も今も」
「俺、飛んでも飛んでもブロックに止められてばっかだ」
「バレーボールには高さが必要」
「いくら高く飛べても圧倒的な身長差は埋まんねえ」
「だけど、あんな風になりたいって思っちゃったんだよ」
「だから不利とか不向きとか関係ないんだ」
「この体で戦って、勝って、勝って」
「もっといっぱいコートにいたい」
『中学の恩師の言葉を借りるけど』
『清流に棲もうが』
『ドブ川に棲もうが、前に泳げば魚は美しく育つ』
『できるできないじゃなくて』
『前に進む、やろうとすることが大事なんじゃないかな』
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作者名：名稀ーなきー | 作成日時：2024年2月15日 16時
