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『そうね、少し考えてみよう』
私がそう言うとえるちゃんの口元は緩んだ。
千反田「ありがとうございます！」
「お二人とも、心当たりがあるんですか？」
里志「千反田さん、ちょっと待ってあげて」
「僕は単なるデータベースだから結論は出せない」
「だけど二人は違う。いったん考え出せばそれなりに当てにはなるよ」
奉太郎「やかましい」
「さて・・・この部屋に入ったのは何時だ？』
千反田「折木さんたちが来る３分前だと思います」
奉太郎「他に何か気付いたことは？」
千反田「ええっと、そういえばさっきから、足元でがたごと音がします」
私には聞こえない。
でも其れが本当なら考えられることは一つ。
『なるほど』
里志「A、もうわかったのかい？」
『うん』
『下からの音でわかった』
奉太郎「ああ、そうか」
私たちは無言で廊下へ出る。
千反田「どこに行くんですか？」
『シーンの再現だよ』
４人で下の階へ向かった。
3階では用務員さんが教室の電灯交換を行っていた。
彼はマスターキーで一つずつ鍵を開け、電灯を変え、最後にすべての教室の鍵を閉めていた。
里志「あの作業中に千反田さんは教室に入り運悪く閉じ込められたという訳か」
『貸し出し用の鍵は私たちが持ってる』
『マスターキーは生徒が持つことはできない』
千反田「でもよく気付きましたね！」
奉太郎「室内に居ながらどうして千反田がロックのかかる音に気付かなかったのか、ってのだけはわからんがな」
『同じく』
千反田「ああ、そのことでしたら」
私たちはえるちゃんを先頭に部室である地学準備室へ向かった。
千反田「あの建物を見ていたんです」
えるちゃんの視線の先にはおんぼろの格技場があった。
里志「古いね」
千反田「ええ」
『・・・じゃ解決したことだし帰りましょう』
奉太郎「だな」
私たちは玄関へ向かい靴を履き替える。
千反田「ところで挨拶が未だでしたね」
奉太郎「挨拶？」
千反田「ええ。これから古典部で一緒に活動していくんですから。」
軽く私たちに頭を下げた後、えるちゃんは里志に微笑みかける。
千反田「福部さんもどうですか？」
里志「いいね。今日は面白かったし。うん、入るよ」
千反田「じゃあ、福部さんもよろしくお願いしますね！」
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作者名：名稀ーなきー | 作成日時：2023年3月20日 23時
