些細 ページ38
日も暮れ始めた夕方。ホームの中の一室、事務局。
ここはホームの中心的な役割を持つ部屋だ。
生活していく上で必要な事務的な処理、外部協力者との連絡や新たなメンバーに関する調査、ホームがある国の情勢など、あらゆる情報が集約される。
「…よし、これで最後かな」
その事務局で、一番奥に置かれた机と椅子。
事務長専用のその席に座って、レベッカは今日最後の書類に目を通した。
これは新メンバーの身辺調査書だ。今朝アメリとも話した、「先週来た、鍛えれば見込みのある新人さん」の最終報告。
基本的にホームは、来る者拒まず去る者追わず。
だが、そこに付け込んでホームの備蓄物を狙ったり、メンバーに個人的な怨恨を持って入り込もうとする人もいる。実際、何年か前にそういう騒動があって、幸太郎とアメリが収束させた。
「ロイド・トルーマン…21歳。国での戦争に耐えかねて逃亡…」
ホームに彼が来た日、レベッカ達運営メンバーは彼と面会している。古傷も含めて怪我が多く、食事も満足にとれていない様子だった。
今日改めて、メアリの警備隊で訓練しているのを見に行ったが、休養の甲斐あってかなり回復していた。他の警備隊メンバーにも見劣りしない身体能力だった。
性格的には気さくで穏やか。子ども達と遊んだりして懐かれている。基本的な教育は受けていたのか、ホームの中では教養が高い部類に入るだろう。
早くもホームに馴染んだ彼は、[ロイ]と皆に呼ばれて、柔らかく微笑む姿が印象的だった。
「うん、特に問題はなさそうね」
ざっと書類に目を通し終え、レベッカはそう判断した。
手にしていた調査書を机に置いて、引き出しからもう一枚書類を出す。これはホームへの正式加入書だ。
まず調査書に自分のサインを入れて、加入書の新メンバー欄にロイの名前を書く。
後は加入書にレベッカ、ルークのサインを入れれば、ロイは正式にホームの家族だ。
「……ん？」
自分のサインを綴ろうとして、レベッカは手を留めた。ふと視界に映った、ロイの身辺調査書の一文。
それは、ロイの出身国に関する記述だった。ロイは国の戦争から逃げてきたらしいが、出身国はまた別らしい。その国名を見て、幸太郎とルークの顔が浮かんだ。
「幸太郎が、ルークと出会った国…」
この国は、ホームがある国からそう遠くはない。
ホームの他の家族にも、この国出身の人は何人かいる。
だから、些細な事なのだ。しかし…
この時レベッカは、その些細な事が妙に気にかかった。
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神娜(プロフ) - とても面白いです！夢中になってずっーと、読んでます(笑)！！次の更新楽しみにしてます！続きが気になるので、時間があったらでいいので、待ってます！！ (2020年7月10日 16時) (
レス) id: aef303f40c (このIDを非表示/違反報告)
Liz(プロフ) - とても面白いです！一気読みしてしまいました！主ちゃんと新一がどうなるのか、組織はどうなるのか！続きが気になります！お時間空いたときで大丈夫なので、更新してくれたらとても嬉しいです！待ってます！ (2020年6月14日 18時) (レス) id: 981ff12ec5 (このIDを非表示/違反報告)
萌奈 - とっても面白かったです！もう更新はしないのですか？ずっと待ってるので、時間が空いたらでいいので更新してくれたら嬉しいです！待ってますよ！ (2020年3月29日 22時) (レス) id: 08309c157f (このIDを非表示/違反報告)
れい - うわー、作品一気読みしてしまいました、もう更新はしないのでしょうか…？待っているので時間に余裕があるときにでも更新してくれたら嬉しいです。待ってます！！ (2019年5月3日 14時) (レス) id: 31d6edb3af (このIDを非表示/違反報告)
緑間大好きっ子(プロフ) - 原作沿いも見てみたい (2018年4月29日 10時) (レス) id: c36a14bd0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガレ@元kaka x他1人 | 作成日時：2017年2月20日 16時
