＊伏黒恵ルート ページ36
伏黒 side
休日。
寮で静かに過ごそうと決めていた。
一通り掃除を済ましてベッドに座る。
途端、置いてあったスマホが鳴り出した。
伏黒｢もしもし伏黒です。｣
貴女｢伏黒くん…？｣
伏黒｢！Aか…？どうした？｣
貴女｢今から、会えないですか。｣
伏黒｢ん、今から行く。｣
そう言って通話を切った。
支度をして寮を出る。
足早に病院に向かい、面会許可を取ってAのいる病室へ急いだ。
ｺﾝｺﾝ
伏黒｢A。｣
病室を覗くとベッドで上半身を起こし、空を見つめるA。
今日は雪が降っている。
Aは振り向くとポツリと言った。
貴女｢恵くん。｣
伏黒｢…は？｣
その呼び方…
伏黒｢まさか、｣
貴女｢うん。記憶、戻ったよ。｣
そう言って微笑む。
俺は少し震えながら手を伸ばし、
彼女を強く抱きしめた。
伏黒｢なんで、お前、忘れてたんだよッ…！｣
涙声になる俺に、Aはそっと背中に手を回した。
貴女｢待たせちゃって、ごめんね。｣
伏黒｢許す、だからもう、｣
俺から離れんな。
そう言いかけた。
貴女｢恵くん、あのね。｣
伏黒｢何だよ…。｣
耳元で震える声が響いた。
貴女｢私、恵くんが好きだよ。｣
そう言って笑うA。
俺はそんな彼女にそっとキスをした。
＿＿＿
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
時に愛は奇跡を起こす。
どんなにすれ違っても。
どんなに辛くとも。
それは変わることはないのだ。
ﾀﾋにたがり少女は
生きる希望を見つけられたのだ。
Fin
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作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=nakano12125 作成日時：2021年5月13日 1時
