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転生 ページ37

ーーー

ピッ!



「「「「うぉおおおおぉぉぉおおお!!!!!」」」」



歓声が上がる。


結果は·····17-25。

白鳥沢が4セット目をとった。




あ。


繋がらなかった。




ネット際で押し負けたんだ。


北斗くんが下を向いている。

南くんも東くんも天井を仰いでいる。



目の前が真っ暗になった。

まずい、これではトラウマになってしまう。


思考にブレーキをかけるが、それも意味をなさずに
心には大きな傷がしっかり刻まれている。


呼吸ができない。

思考も回らない。

虚無感と言われるものに襲われる。






「·····ははっ、」


なにこれ。


人生ってほんとに上手くいかない。

怒りに似た悲しみに、やり切れない悔しさに、
噛み砕けない大きな感情に、俺は支配される。


その名は“絶望”。


もう何も聞こえない、
何も見えない。



次を考える余裕のない俺たち。


誰一人として“次取ろう”と口にしない。



傷ついて、折れた心は
短時間で治せない。

視界が歪む。


込み上げてくる水を塞き止め、
荒れ狂った思考のままゆっくりベンチへ戻る。


顧問の先生たちも声をかけない。
そんな中


「·····、新星、」

暗い顔をした北斗くんの言葉を手で遮る。


チームプレーで誰のせいとか、そんなものは俺の概念にも辞書にも存在しない。
それは荒れ狂ってても同じ。
どんな時であれ、対応を変えてはいけない。

俺がいいパスを出せなかったことも原因。



決まって欲しかった、それは変わらない。


でもそうだよな。そんな奇跡を願ったって叶いやしない。

前世で何度も経験してきた。

帰ろうとした時に上司とエンカウントするとか。
出勤時に急遽打ち合わせあると告げられた時とか。
次の日に出張が決まるとか。
休みを満喫しようと前日に準備していたら当日に朝から呼び出されるとか。

頑張ってきたことを否定するような出来事はたくさん経験してきた。



「俺はまだ諦めない。みんなはどうする?」

深呼吸はできた。
覚悟はもう決めた。

諦めない準備もできた。


何度心折られてもいい。


俺の心を粉々にしてみろ。


「俺はさっきの新星のボールの分、諦める気は無い。」
「俺もここまで来たらやるっきゃねぇだろ。」
「僕も。負ける気なんて元々持ってないよ。」


新たな気持ちで、拳を4人で合わせる。

これが最後かもしれない。
最後にしたくない瞬間。


覚えていよう。


この気持ちと一緒に墓まで。



「「「「·····俺たちは、自由だ。」」」」

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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです!ワクワクが止まりません!新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました! (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2024年3月16日 18時

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