誘拐 ページ43
『え……』
首だけを動かして、後ろを振り向く。
そこには茂みの中から顔を出している、胸にシャベルが突き刺さった男。
見覚えのある紺色の軍服に空いた穴からは、赤い血の代わりに銀色の鉄が覗いていた。
鬱さんは私にマントを被せると、周りを確認するようにキョロキョロと首を回す。
鬱「1人……なわけないやんな」
シ「複数いる。5、6……軽く10人くらいはいるな」
2人は小声でそう会話を交わす。
シャオロンさんは男に突き刺さったシャベルを抜き取り、兵の左耳を破壊した後、茂みに向かって構えた。
そして、今度は小声ではなく周りに聞こえるくらいの声で言った。
シ「いるのはわかってんねんで。大人しく出てきたらどうや」
シャオロンさんがそう告げるや否や、茂みや木の影から姿を現す同じく紺色の軍服の兵達。
数十人の兵が私達を取り囲んだ。
『……ッ！』
「我々はA様を返しに貰いに来た。抵抗はするな。我々の任務を害する場合、お前達を排除する」
鬱「おーおー、物騒やなぁ」
「王族の誘拐。本来なら許されない行為だが、国王の命令により任務に支障がないようなら見逃す。今すぐここから立ち去れ」
シ「……なんか勘違いしてへん？これは誘拐なんかじゃないで」
シャオロンさんの言葉など気にも止めず、1番前に立ち仕切っていた兵が私に歩み寄って来る。
シャオロンさん、鬱さんの横を通りすぎ、私の手首を掴む。
「迎えに参りました。A様、私共と共に帰りましょう」
『……ッ』
もう、帰らないと決めていたはずなのに。
私の意思は兵の言葉で揺らいでいた。
……このまま帰ったら、国は救えない。
でも、ここにいたら我々国の迷惑に……
「国王も心配しておられます」
『……』
シ「知っとる？自分と相手の合意がなければ、それはただの【誘拐】になるんやで」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シリウス(プロフ) - hatunefranさん» 少し調子にのってしまいました← ありがとうございます！自分ではあまり自信がないんですけどね(苦笑 (2018年12月11日 18時) (
レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
hatunefran(プロフ) - タイトルのところが絵になってる！！つか、絵上手！ (2018年12月11日 17時) (レス) id: 674bbad439 (このIDを非表示/違反報告)
hatunefran(プロフ) - シリウスさん» 気にいってくれたのなら幸いです！今度は、別の小説の方の夢主も作ろうと考えています (2018年11月24日 12時) (レス) id: 674bbad439 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - hatunefranさん» え、めっちゃ可愛い……← ありがとうございます！このような夢主ちゃんの画像が来たのは初めてなので、とても嬉しいです！ (2018年11月24日 8時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
hatunefran(プロフ) - シリウスさん» http://uranai.nosv.org/uploader/common/6/9/6/6967f861302983377b211eba080f315d.png 見れますか？ (2018年11月24日 0時) (レス) id: 674bbad439 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
