抱えた闇は知っている Ｆirst,Story

29＊写真 ページ36

［SIDE:A.T］


「開けていい？」

私は、10時過ぎ頃裕也君の部屋に行った。

聞きたいことがあったの。

「起きてるけど。

　なに？」

そっとドアを開けた。

「失礼するね。

　ゴメンナサイ。夜中に。

　さっきのことなんだけど…」

ふっと裕也君の目線を見ると、銀色の縁の写真立てにたどり着いた。

「コイツ、俺の幼馴染だったんだ。」

私に目を向ける。

「唯一の仲良い女子で好きだった時期もあった。

　だけど、」

写真立てを持って私に持たせた。

男の子と女の子が写っていた。

男の子は、裕也君に似ていて面影がある。

もう一人、女の子は髪がストレートで可愛い女の子だった。

「去年、交通事故で死んだ。

　飲酒運転してた奴に、アイツは…。」

交通事故…。

私だったら耐えられないと思う。

「ごめん。

　なにも言ってあげられない。

　ゴメンナサイ。」

私は、なにもできないの。

ごめんね。

「そういうとこなんだよ。

　俺の幼馴染と似てるのが…。

　だから、つい…。」

ヨロヨロと私に近づく。

「被せちまうんだ。

　幼馴染とお前のシルエットを。」

裕也君は、私に抱きついた。

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